約4分で有酸素性運動20分の持久力アップ効果が

では、最大酸素摂取量の170%の強度とは、具体的にどれくらいでしょうか。これは、休息を入れずに続けて運動した場合、50秒程度で疲労困憊に至る強度、ということができます。つまり、1分も続けられないほどハードな運動強度なのです。

ここで「間欠的」の10秒休息が効いてきます。最大酸素摂取量の170%の強度では50秒しか運動を続けられないところ、タバタトレーニングでは20秒運動した後、10秒の休息を入れることで、また再び高強度の運動ができるようになるからです。これにより、高強度運動20秒を8回も繰り返すことができ、合計で160秒もの高強度運動が可能になります。このことが、持久力などの運動能力向上につながるのです。

また、最大酸素摂取量の50~70%の一般的な有酸素性トレーニングで持久力を高めようとする場合、その運動を20分ほど続ける必要があるとされています。しかし、タバタトレーニングであれば、約4分という「短時間」が基本です。

20秒の運動という単位も非常に「短時間」なうえ、トータルの時間も短くて済むのです。そのため、アスリートやトレーニング愛好者に限らず、多忙で運動の時間がつくれない人や、運動がなかなか継続できない人も、気軽に日常生活に組み込めるトレーニングだといえます。

「20秒運動+10秒休息」が最大の効果を得られる

ここまで説明すると、「20秒運動+5秒休息」や「30秒運動+15秒休息」など、他の組み合わせはどうなのか、と質問されることがあります。確かに、他にも効果的な組み合わせがあるかもしれません。

しかし、すでに「20秒運動+10秒休息」が、有酸素性トレーニングおよび無酸素性トレーニングにおいて、いずれも100%という最大の効果が得られることがわかっています。100%より上はありません。ですから、著者としては、他のトレーニングパターンに関心を寄せるより、さらにタバタトレーニングの研究・分析を深めて、その良さを伝えたいと思っています。

ここで、タバタトレーニングを行うときの「20秒運動+10秒休息」のセット数が、6~8セットの場合と8セットの場合が出てくるので、それについて触れておきます。このトレーニングはもともと入澤孝一先生が嬬恋高校の生徒を指導するときに導入されたもので、1996年1997年に著者が発表した論文で対象にしたのは、運動強度を正確に規定できて、疲労困憊も正確に判断できる自転車エルゴメータ(固定式自転車、フィットネスバイク)を使い、6~7セットで疲労困憊に至る運動でした。

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しかし、世界中の運動愛好者に広まっていく中で、運動強度を正確に規定できないものの、どこでもできる自体重を用いたトレーニングが多く用いられるようになり、8セットを最大努力(できるだけ多く。)で行うやり方が増えてきたのです。このようなことから、トレーニング内容や背景等によってセット数が異なる説明を見ることもあるでしょう。