おへそを研究してきた研究員

実は寺田さんは97年の入社以来、約20年、研究部門で商品開発に従事してきました。当時から気になっていたのが、足・脇の体臭や鼻の角栓、肌や髪の毛など、体の細かな部位について長年、地道な研究を続ける研究員たちの存在。

その中に、「おへそ博士」とも呼ぶべき、男性研究員がいました。

「落とせない汚れや臭いを、なんとか解決したい」という強い思いのもと、へそ(ごま)の研究を始め、一人ひとり違うとされる、おへその穴の形状や体積などをコツコツ調べ続けていた人物です。

彼は膨大なパターンのおへその溝に対応し得る「パック」の素材についても、「歯科治療の、歯型を取る材料が使えるのではないか」など研究を進めていた、とのこと。

「ですが、あいにく彼は定年間近でした。ニッチなおへその研究も、脚光を浴びないまま終わってしまう可能性があったのです」(寺田さん)

長年の研究成果を具現化したい

おそらく消費者側でも、おへそのごまが気になっている人は少なくない。また「へそごまパック」は、ニッチな「N=1」寄りの尖ったニーズに刺さる可能性があり、一定の消費者の間で“熱狂”を呼べるのではないか……?

写真提供=花王
へそごまパックの使用イメージ

そして何より、「長年、地道におへそを研究し続けてきた研究員の研究を具現化したい、葬り去ってほしくないとの思いが強かった」と寺田さん。

そんな熱い思いを結集したへそごまパックは、専用のジェルをおへその溝に流し込み、数分後、おへそのごま(汚れ)をグミ状に固めて除去する商品。

セットには、2剤を混ぜてジェルを作る「ゼリーポーション」と、そのジェルをおへその溝にゆっくりと注入する際に使う「おへそシール(溝程度の大きさの穴あり)」が梱包こんぽうされています(「楽天市場」販売時価格3850円<税込>)。