ホンダが今年5月に発売した新型「ステップワゴン」が好調だ。自動車評論家の小沢コージさんは「大きいボディ、あっさりしたデザイン、燃費より走り味といったホンダ独自の路線は、ミニバンのはやりとは異なるが、その逆張りがウケているのだろう」という――。
どの車がヒットするかは自動車評論家でもわからない
恥ずかしながら自動車評論の仕事はハズしの連続です。売れると思ってた新車が泣かず飛ばずだったり、ノーマークだったクルマが売れちゃったり。
具体的に言うと、2021年に生まれたトヨタの新型2代目アクアはすぐさま国内月販1位(登録車)になると勝手ににらんでました。
なぜならそれまで1位常連だったある意味兄弟車たるトヨタ・ヤリスのリアシートが狭すぎたからです。
2つの車を比べると、新型アクアはヤリスのネガ消しをしたような国内専用ハイブリッドコンパクト。今回はホイールベースを5cm伸ばしリアシートを広くしただけでなく、内外装の質感をバリバリに上げて明らかに国内対策。
しかも初代アクアは2011年にデビューするなり2013年から国内登録車で3年連続ナンバーワンを獲得した人気ブランド。末期でも売れてましたし、当然そちらの方が売れるはずだと。
ところが現状、アクアもそれなりに売れていますがヤリスを超えてはいません。
もちろんヤリスの販売実績はSUVのヤリスクロスと合算だったり、ハイブリッドにガソリン車も選べますが、21年の販売比率はヤリス21万台強に対してアクア7万台強。リアの狭さは、思ったよりもネックにならなかったようです。がっくり。
新型ステップワゴンは売れないと思ったワケ
さて、今年は、トヨタの4代目ノア&ヴォクシーに加え、国産箱型ミニバンのパイオニア、ホンダの6代目ステップワゴン、さらには日産セレナも生まれ変わると言われている「ミニバン当たり年」。
その中で、個人的にはステップワゴンは売れると思っていませんでした。
というのも、もはやマーケットリーダーたるトヨタが1月に発売した新型ノア&ヴォクシーが非常によくできていたからです。
ポイントはざっくり3つ。