頼れる人が少ない一人親家庭

僕も含めて彼らに共通しているのは、ほとんどが一人親だということでした。

大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは必ずあるから』(河出書房新社)

一人親家庭は経済的にも厳しく、何より、子どもが頼れる人の数が圧倒的に少ないという共通点があります。

どういうことかというと、僕がそうだったように、一緒に暮らす親とうまくいかなくなったら頼れる人が誰もいなくなるのです(一人親家庭には、頼れる祖父母もいないというケースが多く見られます)。

また、そもそも親が働いているので、頼れる人と過ごせる時間自体が少ないのです。

僕は、一人親家庭の子どもを支援する制度について調べてみました。するとそこには、さまざまな問題がありました。特に心の問題については、相談窓口が存在はするものの、きちんと機能しているとはとても言えない状態でした。

理不尽な状況を変えたい

僕自身はたまたまF先生と奇跡的に出会い、助けられました。

しかし社会には、なんの落ち度もないのに、一人親というだけで経済的にも精神的にも苦しみを強いられている子どもたちが大勢いる。彼らは誰にも悩みを相談できず、孤独を感じ、一人で問題を抱えている。

こんな理不尽なことがあっていいのだろうか。僕は憤りを感じました。

そしてこれからの人生で自分に何ができるのか、何をしたいのかと考えたときに、この状況をなくすために活動したいという思いが湧いてきたのです。

僕は、これからの人生を自分と同じような一人親家庭で育った人のために使いたいと決意し、そのために大学に進学しようと決めました。僕が望む状況を社会で実現するには、どうしても進学して勉強することが必要だったからです。

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