ある都銀の社食にて。スタートから2年半で累計250万食をアフリカの学校に提供してきた。(画像提供=TABLE FOR TWO)

ある日、自分を見つめ直さなければ埒が明かないと思って、幼い頃からの記憶をたどり、自分が好きなこと、嫌いなことを模造紙に思いつくまま書いていったのです。その結果、「ルール通りに物事を進める」のが昔から大嫌い、「友達同士で新しいことを考えて実行する」ことが大好き、「正義感が強くて、お金にはあまり興味がない」自分の性格を改めて認識しました。高収入のマッキンゼーも典型的な日本の会社だった松竹も、道理で合わないはずだった。でも、そういう経験をしたからこそ今の仕事を見つけることができたのですから、後悔はありません。

そこで思い出したのが、アメリカではNPOが民間企業と同じように社会的に認知され活動しているという事実でした。「これしかない」と思って情報を集め、いろいろな人に会っていくうち、マッキンゼー時代の先輩から、まだひよっこのような存在だったTFTの存在を聞かされ、それに懸けてみたのです。35歳の夏でした。

世の中には「働く動機はお金」と考える人が多いようですが、思わずガッツポーズが出てしまうような仕事を経験したことがないから、そう答えてしまうのではないでしょうか。もちろんお金は大事です。マッキンゼーはたしかに待遇がよかったし、そういう時期を経たからお金に執着しなくなったという面もあるとは思います。

会社員時代と比べて大幅な収入減ですが、アフリカに行き給食を支給している子供たちに直接会ったり、有名シェフやコンビニと組んで新しい事業を始めたりと、ガッツポーズが出る瞬間がある。これこそ僕のやるべき仕事だと今は充実感でいっぱいです。