道外生協の宅配の取扱品目はおおむね2000~3000SKU、最大手のコープデリ(20年度供給高4559億円)でも5000SKUだ。トドックも以前は5000SKUだったが、18年秋に2万SKUと4倍に拡充された。
この2万SKUという数には、明確な根拠がある。
「コープさっぽろの600坪タイプの大型食品スーパー(SSM)の売り上げ上位90%に相当する品目数が1万5000SKU、ツルハに代表される350坪タイプのドラッグストアの売り上げ上位90%に当たる品目数が8000SKU。合計2万3000SKUから重複した商品を除くと2万SKUになる」と大見氏。
「『ポツンと一軒家』でも札幌の大型食品スーパーとドラッグストアを合わせたぐらいの買い物はできる」という発言は、データに裏付けられたものだったことが分かる。
登録者の7割が無料配送
トドックの利用者に毎週配付されるメインの商品カタログ『週刊トドック』は、青果、精肉、鮮魚の生鮮3品、牛乳などの日配品、冷凍食品、調味料、菓子などSMの基幹商品5000SKUを週替わりで紹介。店舗の〈52週マーチャンダイジング(MD)〉(第4章参照)と連動し、その時期の旬の商品を重点的に売り込む。
ほかに季節ごとに更新される季刊カタログとして『酒・飲料』(4000SKU)、『食品』(高級食材や嗜好品など4000SKU)、『ビューティー』(化粧品、美容グッズなど3300SKU)、『くらし』(生活雑貨、ホームファッションなど2500SKU)、『くすり健康』(OTC医薬品、健康商品など1600SKU)という五つのカテゴリーがある。
22年3月からは良品計画と連携し『無印良品』の取り扱い(当面120SKU)も開始。週によってスポット的に配布されるチラシなどもあり、「近いうちに2万5000SKUまで拡大するだろう」(大見氏)。
この充実した商品群を、1回220円のシステム手数料(配送料)で道内のどこにでも運ぶ。しかも、子育て世代の組合員(妊娠中もしくは15歳未満の子どもがいる組合員)、60歳以上の組合員、コープさっぽろが販売する電気、灯油、ガスのいずれかを利用している組合員に対しては、システム手数料を免除する特典がある。このため実際には、登録者の7割が無料配送の恩恵を受けている。
その上で「トドックの取扱商品の価格はすべてアマゾンの売価を下回る設定にしている。宅配に関してはアマゾンプライム会員(年4900円の会費で送料無料などの特典が受けられる制度)よりもメリットのある仕組みをつくることを意識している」と大見氏は語る。
「アマゾンが北海道で本気の戦いを挑んできても勝ち残る」
半世紀以上も前に今日の宅配システムの原型をつくり、専用の物流設備や配送センターなどのインフラを着々と築き上げてきた生協。これに追いつき、追い抜く可能性がある事業者は、〈GAFA〉の一角を占める世界のプラットフォーマー、アマゾン以外には考えられない。