国葬費は「2億5000万円」で本当にすむのか

それに、国葬には税金から2億5000万円をつぎ込むという。だが、週刊ポスト(9月9日号)は、そんなものでは終わらない、検証すると33億円はかかるはずだと試算している。

そりゃそうだろう。中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が参考になるが、このときはコロナ下で行われたため、参列者も1400人と縮小された。そのために2億円ですんだというが、今回はそうではない。

ポストによると、葬儀自体はその程度で収まるが、各国のVIPが参列するため、会場周辺だけではなく、飛行場や彼らの滞在先の警備費用が莫大になるというのである。

警視庁出身の作家・濱嘉之氏がこう試算している。

国葬の場合は、警視庁の警察官約4万5000人の大部分が警備関連の業務にあたるそうだ。さらに関東管区、東北管区などから機動隊が集められる。超過勤務の費用や食事代、宿泊代などを含めると、最低でも23億円ぐらいになるというのである。

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それに加えて、外国から来る賓客ひんきゃくをどうするのか。現役首脳には払う必要はないが、元首脳が多く来る予定だ。もしトランプ氏やオバマ氏が来れば、その人たちの宿泊施設は、三流ホテルとはいかない。帝国ホテルやザ・リッツ・カールトンならば、一泊何十万円から何百万円する部屋もある。

そうした諸々の費用を入れれば、総額は130億円にもなるかもしれないというのである。

岸田首相は、なるべく費用を少なく見せて反発を抑えたいようだが、姑息なつじつま合わせが墓穴を掘ることになる。

「統一教会とは無関係」をアピールするはずが

岸田首相が急激に保守的になってきている理由を、評論家の田原総一朗氏はサンデー毎日(9月4日号)で、「国内の支持率が低くなると、みなタカ派になる。ジョンソン英国首相、バイデン米大統領がそうだ」といっている。

たしかに、朝日新聞(8月29日付)の世論調査で、内閣支持率が47%になってしまった。統一教会問題をめぐる岸田首相の対応を評価するかの問いに、「評価しない」が65%、「評価する」は21%。国葬については反対が50%、賛成41%。原発の新増設や建て替えについては当然のことながら、賛成は34%で反対は58%。支持率が今より下がることはあっても上がる要素は何もない。政権末期の様相を呈するのは時間の問題だろう。

支持率下落に慌てて内閣を改造してみたが、統一教会と関係のない人間を据えるといっていたのに、蓋を開けてみれば、「統一教会汚染内閣」といわれるほど惨憺たるものである。

中でも、閣僚ではないが、政調会長に据えた萩生田光一氏と統一教会は、まさにズブズブの関係のようだ。週刊新潮(9月1日号)で元統一教会の信者はこう語っている。