幼稚園選び
出産直後に予約が必要な、名門大学付属の大人気プレスクールもあり
アメリカの多くの子どもは、0〜2歳期を家庭やデイケアと呼ばれる保育園で過ごし、オムツの取れる3歳ごろから幼稚園(プレスクール)に入園し、幼児教育をスタートさせる。
石角さんによると、シリコンバレーの幼稚園は、一般的なものを除き特徴的なところとしては、
・中国語やスペイン語などの外国語に没入させる「イマージョン系」
・自立心を育む「モンテッソーリ系」
・感性を育む「シュタイナー系」
などに大別されるという。
シリコンバレーの親たちは、子どもの特性や家庭の方針に合ったスクール選びのため、リサーチや見学に力を注ぐという。またコロナ禍の影響もあり、今まで以上に自然体験型の幼稚園が注目されているそうだ。
「最近は特に、乗馬をしたり、教科書やノートを使わずに屋外で数学を学んだりという自然体験型のスクールが人気です」(石角さん)
なかでも注目されているのは、シリコンバレーの中心パロアルト市内に広大なキャンパスを持つ名門スタンフォード大学の敷地内にあるBing Nursery School。スタンフォードの教職員や研究員の子弟が多く通う。大学関係者以外は、出産直後に入園の申し込みをしておかないと入れないほどの人気だという。
青い芝生と果樹に覆われた園庭には、ジャングルジムとうさぎ小屋。園庭に直接出入りできる教室には、カリフォルニアの明るい日差しがさんさんと降り注ぐ。
夫がスタンフォード大学のビジネススクールで学んでいたという川崎さんはこの幼稚園に、娘を2歳で入園させた。
「Child-centered(子ども主体)」と「Play-based(遊び中心)」を理念に掲げる同園のプログラムは、「ハンズオン(体験学習)が豊富で、シェービングクリームを手にいっぱい塗ったり、水や砂で遊んだりして五感を刺激する仕掛けがたくさん用意されています。登園してから2時間はプレータイム。子どもたちそれぞれが興味のある場所で遊びます」と川崎さん。
シリコンバレーの親たちには、このように、アートや音楽、体操、自然などをプログラムに取り入れた「遊び中心」の幼稚園が人気。遊びを通して、子どもたちに主体性を育んでもらいたいと希望しているからだ。(以下、後編)
東京・八王子にある「東京ウエストインターナショナルスクール」最高執行責任者。2015年までアメリカのシリコンバレーに住み、その間、IQ130以上の子どもを対象にしたギフテッド専門の私立一貫校ヌエーバスクールで、15年間教師を務め、多くのギフテッドの子どもたちの教育に関わる。自らの子どももヌエーバスクールの卒業生。NHKクローズアップ現代「知られざる天才“ギフテッド”の素顔」に出演。
石角友愛さん
AIテクノロジーカンパニー「パロアルトインサイト」CEO。16歳で単身渡米し、ボーディングスクールに留学。2010年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したのち、Google本社で多数のAI関連プロジェクトを担当する。日本企業に対してシリコンバレー発のAI戦略提案からAI実装まで一貫した支援を提供。11歳と6歳の子どもがいる。子育て関連の著書に『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)がある。