優秀なアイデアマンはいい案の「感想戦」を行う
③ 「珠玉の1案を考える」→「玉石混交でいいから100案考える」
斬新なアイデアは演繹的には生まれません。ふとした瞬間に偶発的に生まれます。いいアイデアを出そうとして考えた1〜3案目は、だいたい他人と被るので捨ててしまうのも一つの手です。
サイコロでゾロ目を出すつもりで、まずはテキトーに、100個アイデアを振り出してみる。切り口を変え、考える場所を変え、なんとか100個出そうとする。
あきらめず100案くらい出してみて、砂金を探すように、1案ずつふるいにかけてみましょう。玉石混交の中に、キラリと光るアイデアがあるはずです。
④ 「いいアイデアが出て嬉しい」→「発想の瞬間をスローモーションで振り返る」
いいアイデアが出たら一安心。おめでとうございます。これで明日の会議を乗りきれます。しかし、その瞬間にこそ、セカンドチャンスがあるのです。いいアイデアが出せた直後は、自分だけの発想の切り口を脳に定着できるチャンスだからです。
いいアイデアが出る直前の思考や切り口を、スローモーションで思い出してみましょう。将棋で言うところの、感想戦です。
「トレンドをヒントにした」「ユーザーを勇気づけようとした」「パロディのネタを見つけた」「あるあるを何個も見つけた」「ギャップのある言葉を組み合わせた」など、発想の直前を振り返り、リスト化しておくのです。
そうすれば次回以降のプロジェクトでは、アイデアの切り口を転用して、効率よくアイデアを探ることができます。優秀なプランナーは、このトレーニングを隠れてやっています。
⑤ 「アイデアが尽きた」→「スティミュラスを活用して、眠った記憶を刺激する」
アイディエーションの後半になるほど、発想が尽きてきます。そんなときはスティミュラスを活用しましょう。スティミュラスとは「記憶の刺激になる情報」です。
多くのアイデアは、自分の記憶から意外な情報をひっぱり出すことによって生まれます。例えば「スマートフォン」は、「電話」を知らない人には思いつけません。ポストイットも「弱い接着剤」と「本のしおり」を組み合わせたアイデアです。
そのため、自分の眠っている記憶を刺激することで思わぬ発想を引き出そうと試みるのには、試す価値があります。
私のおすすめする三大スティミュラスは、「ツイッターのいいね欄」「カメラロール」「パソコンのゴミ箱」です。どれも自分がすでに知っているけど、忘れている情報をランダムに一覧できるフォーマットだからです。
これらの情報を大量に眺めることで、眠っている記憶がアイデアに昇華することがあります。これを認知科学用語で「プライミング効果」と呼びます。