影響を受けた人は、音声通話で約2316万人、データ通信で775万人以上の延べ3091万人以上という。
また、KDDIの回線を利用する楽天モバイルやIIJなどの格安スマホの利用者もとばっちりを受けた。
障害は生活インフラを直撃した
実は、今回の「事件」の中核的問題は、通信障害の影響が利用者にとどまらず、あらゆる生活インフラに広がったことだ。
その内容は、実に多岐にわたる、
・体調不良を訴えた高齢者が救急車を呼べなかった
・登山中に負傷した人が救助を求められなかった
・新型コロナの感染者と連絡が取れなくなった
・災害対策で派遣した職員とつながらなくなった
・銀行のATMが利用できなくなった
・気象庁の地域気象観測システム(アメダス)の観測データが集約できなくなった
・宅配便の配送状況を確認できなくなった
・車のコネクテッドサービスがつかえなくなった
・バスの運行掲示板が使えなくなった
等々、数え上げたらキリがないほどのトラブルが全国から報告された。
いったん通信障害が発生すれば、人の命にも関わる事態も起きることが、誰の目にもはっきりしたのである。
それは、通信ネットワークが、既にネット社会の隅々まで活用されていることの裏返しでもある。
なぜ補償額は「一律200円」なのか
そこで、KDDIが発表した補償の全体像を、あらためて整理してみる。
「約款にしたがって278万人の音声サービスの契約者に平均104
補償額の算出はこうだ。KDDIの約款は「24時間以上、すべてのサービスが利用できない場合に返金し、24時間ごとに加算する」と定めている。
いわゆる「24時間ルール」だ。そこで、これに該当する278万人の利用者の月額基本料金を日割りで計算すると、1日あたり平均52円になる。障害は61時間余に及んだため、返金額は2日分相当の平均104円となった。
一方、約款には明示されていないものの、KDDIは、利用者の大半が長時間にわたって音声通話もデータ通信も利用しづらくなった事態を重く見て、別途、「おわび」をすることにした。
ただ、その根拠となったのが約款で、障害が起きていた時間を3日間と勘定して、約款にしたがった前述の日割り額52円×3日=156円、これに44円を上乗せした200円を、すべての利用者に一律で返金することにしたという。
高橋誠社長は「おわびの返金についてはかなり悩んだ」という。
KDDIにしてみれば、杓子定規に約款にしたがったわけではなく、約款にはない「おわび」を行い、不利益を被らなかった人にまで返金するのだから、とやかく言われる筋合いはない、と言いたいかもしれない。
確かに、約款上は、文句のつけようがない対応といえるだろう。