料理をするときはひとりごとを言う

「うちの子は、理科にまったく興味がなくて……」という声を聞く。特に女の子の親に多い。しかし、女の子だからといって理科に興味がないわけではない。きっかけをつかめずにいるだけのように感じる。

理科に興味を示さない女の子におすすめしたいのが料理だ。ただ、そのときも勉強っぽい雰囲気にしてはいけない。卵焼きを作りながら、「なんで卵は火にかけると固まるんだろうね」と、親がひとりごとを言うようにつぶやく程度でいい。そして、子供が関心を示したら、「一緒に調べてみようか」と誘ってみる。

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料理は化学そのものだ。パンを作るときはベーキングパウダーを加えると膨らみ、保存食を作るときは塩が欠かせない。虫や動物、ものづくりには興味がない子でも、料理から理科好きになる子もいる。つまり、どの分野から入ってもいいのだ。何かをじっと観察したり、物事をじっくり取り組めたりする子は、共通性や違いに気づくことができる。実は、これが理科に強くなる大事な力。理科の知識を覚えるのに欠かせないのが「分類」だからだ。

低学年までに理科を楽しんできた子は、受験勉強でも困らない

中学受験における理科の知識量は膨大だ。だが、幼少期や低学年の頃に、楽しく理科に触れてきた子は覚えるのに苦労しない。小さい時に体験したことが、「あ、あれはこういうことだったんだな」と授業の内容につながり、さらに楽しくなる。

ところが、受験勉強が始まる4年生以前に、まったく理科分野に触れてこなかった子は、「なぜそうなるのか?」という関係性が分からないまま、なじみのない言葉をただ覚えようとする。

知識だけを確認する一問一答の入試であれば、なんとか乗り切れるだろう。しかし、近年の入試は、名前や公式などの知識だけを問う問題はほぼ出題されず、「なぜそうなるのか?」と理由を書かせたり、実体験に基づいて考えされたりする問題が多い。

こうした問題に挑むときに、生きてくるのが幼少期からの経験だ。幼少期の興味が理科を好きになるきっかけとなり、幼少期に夢中になって取り組んだことが理科の問題を解くときのヒントになる。

近年、低学年からの塾通いが増加傾向にある。少しでも早く受験勉強に触れておくことで、受験に有利になると考える親は少なくない。しかし、私は低学年からの受験勉強の先取りには懐疑的だ。その時間をぜひ子供の興味の時間に充ててほしい。机上の勉強よりも、経験に勝るものはない。

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