物理好きな子の第一歩はボールペンを壊す

子供がものを組み立てるのを好んだり、分解するのを面白がったりしたら、チャンスと捉えよう。わが子を物理に強くしたければ、ものを壊されるのは覚悟して、どんどんやらせてみることだ。

物理好きになる第一歩は、ボールペンを壊すこと。理系に強い人なら、子供の頃に一度はやったことがあるのではないだろうか。ここでも「そんなことをしちゃダメよ!」と、親は遮ってはいけない。子供がどうやって組み立てるのか、少し離れたところで見守ってあげてほしい。この時間こそが、頭をフルに働かせている状態だからだ。

なかなかうまくいかずに困っていたら、少しだけ手助けをしてあげ、最終的には自分でやり遂げたと思えるように体験させる。すると、ものづくりの楽しさを知り、「これってどういう仕組みになっているのだろう?」と構造にも関心を持つようになる。「この小さなバネはなぜあるんだろうね?」といった問いかけが大切なのだ。

ものづくりに失敗はつきものだ。今の時代の子育ては、「失敗させてはいけない」「危ない目に遭わせてはいけない」と親が何でも先回りしてしまうため、子供は失敗を経験する機会が少ない。

3年生の理科で「電流のはたらき」を学習する。乾電池と豆電球のキットを持ち帰り、「家で実験してみよう」と宿題に出されることも多い。そのとき、多くの家庭では、「乾電池を1個つないだら灯りが点いたね。2個つないだらもっと明るくなったね」で終わってしまう。

フィラメント電球が光っている
写真=iStock.com/choness
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「それなら、3個つないでみたらどうなるのだろう?」と子供がやりたがったら、「危険だから」と言って止めないでほしい。直列に乾電池を3個つなげてみると、一瞬ピカッとものすごく明るくなって、パッと消える。明るさは電流の二乗に比例するため、乾電池を3個つなげると9倍の明るさになる。

しかし、電球のフィラメントはそこまでの耐久がなく、壊れてしまう。そんなときは、「だから言ったでしょ!」と子供を責めるのではなく、「次の日曜日に豆電球を買って来て、またいろいろやってみようよ!」と面白がってあげてほしい。すると、「失敗することはいけないことではないんだ」と肯定的に受け止められるようになり、「あれこれ試してみるのは面白いな」と思えるようになる。

わが子を物理好きにしたければ、親も安全に注意しながら試行錯誤する姿勢を見せてあげよう。一緒にロボットを作ってみるのもいいし、ラジオや時計を分解して組み立ててみるのもいい。組み立て家具の説明書を見ながら一緒に完成させるのもいいだろう。

家具やテレビなどの電化製品を買うと、業者に組み立てや設置まで頼むことができる。「面倒くさいから全部お願いしちゃおう」という家庭と、「一緒に組み立ててみようよ」という家庭では、どちらが理科好きになるかは一目瞭然。わが子を物理好きにしたければ、親自身も試行錯誤を楽しむことだ。