一緒に暮らしている“別の人”と思ったほうがいい

図にある大きな円は「親の常識」だと考えてください。親の常識は中心点から少しずつ広がっていって、このような円になっています。

『プレジデントFamily2022年夏号』

この親に子供が生まれました。偶然にもタイプのよく似た親子だった場合、子供の常識は親の常識と同心円で大きくなるので、ハミ出すことはありません。このケース、世間的には「ウチの子には反抗期がなかった」ということになります。それを心配する保護者の方もいるけれど、心配は無用。たまたま、親と子のタイプがよく似ていたというだけのことなんです。

ところが、図のように、子供が成長するにつれ、親の円からハミ出した場合、世間では「反抗期が始まった」と言うのです。

でも、子供にしてみれば自然に成長してきただけのことであって、文句を言われる筋合いはない。親の常識にとらわれず、自分の価値観をもって歩み出しているので、親としては喜ぶべき姿です。

とはいえ、突然、返事をしなくなったり、汚い言葉を使うようになったりした子供を目の前にすると、親としてはショックを受けますよね。売り言葉に買い言葉で、親子ゲンカに発展するケースも多いはず。

「うるせぇ、クソババァ!」
「親に向かって、クソババァとは何よ!」

言い合いをしてスッキリするならいいですが、場合によってはお互いの心に深い傷やしこりが残ってしまいます。また、毎日毎日同じバトルの繰り返しは、時間の無駄でもありますし、不毛です。

特におなかを痛めて産んだお母さんは、子供を「自分の分身」だと思いがち。だけど、子供は決して親の分身ではありません。遺伝子が1個違っただけで別の生き物になってしまうんです。そう、子供は成人するまで一緒に暮らしている“別の人”と思ったほうがいいですよ。

そんな冷たい親子関係は嫌だ、という保護者の方は、ちょっと思い出してみてください。

「親ってうざいよね」なんて言っていた、思春期の自分の姿を……。

さて、ここでは自己主張期に入った子供との不毛な言い合いを避ける言葉掛けの秘訣を紹介します。参考にしてみてください。