建築費高騰により「ステルス値上げ」が横行?
こうした住宅の「建築費インフレ」が問題になるのは、何もこれから購入する方だけではありません。
むしろ、すでに住宅を購入し、契約書を交わして、引き渡しを待つ人のほうが、より深刻な問題に直面する可能性があります。
冒頭でご紹介したように、契約時の金額より、高い費用を請求されるケースも多発しています。
本来は、契約書に「特約」がなければ、建築費高騰分を施主が支払う必要はありません。ただ、住宅会社側が、契約書の「特約」に、「経済事情の激変等で価格が上がったときには、理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる」などの一文を入れていることがあります。
これは、国交省の中央建設業審議会「民間建設工事標準請負契約約款」にも記載されているもので、一般的な「特約」です。そのため、契約書を交わしたあとで、建築費高騰分を、住宅購入者が負担するケースが出てくるのです。
具体的な事例では、契約後に建築費が500万円も上昇したため、最終的に、建物のレベルダウンを受け入れて200万円程度下がったものの、まだ足りないので、庭や家具はあきらめたうえで、残りの超過分を現金で支払った、といったケースもあります。
その他、資材価格が上昇すると、施主が知らない間に、「ステルス値上げ」されてしまう可能性もあります。
「ステルス値上げ」とは、つまり、資材を勝手に安いものへ変えられたりするケースです。
そのほか、職人の人件費を削るために、予定外の突貫工事となって、住宅のクオリティが落ちるという可能性もあります。
トラブルを避けるためには、どんな資材を使っているのかを施主側が把握し、どの材料がどのくらい値上がりしたのか、きちんと説明を求めることが必要でしょう。
住宅メーカーの話をしっかり聞いて、お互いによく話し合うことが大切です。