地銀12行も公的資金2340億円を抱える

新生銀行の3494億円にも及ぶ公的資金返済方法に注目が集まるなか、実は、地方銀行においても公的資金返済を迫られている。

預金保険機構によると、金融機能強化法に基づく資本参加実績一覧(公的資金投入額)は以下のようになっている(2022年3月末時点)。

南日本銀行(鹿児島)150億円
みちのく銀行(青森)200億円
三十三銀行(三重)300億円
東和銀行(群馬)150億円
高知銀行(高知)150億円
北都銀行(秋田)50億円
宮崎太陽銀行(宮崎)130億円
仙台銀行(宮城)300億円
筑波銀行(茨城)350億円
東北銀行(岩手)100億円
きらやか銀行(山形)300億円
豊和銀行(大分)160億円

日本全国に散らばる計12行に総額2340億円もの公的資金が注入されているのだ。

ちなみに、「地銀連合構想」を掲げるSBIが資本・業務提携を結ぶ地銀9行のうち、公的資金注入行は、東和銀行、筑波銀行、きらやか銀行、仙台銀行の4行で、注入された公的資金の合計は1100億円に及ぶ。

SBIにとって、連結子会社となった新生銀行とは違い、これら地銀4行は、資本業務提携先のため、SBIが一義的に責任を負うものではないものの、これら地銀の1100億円もの公的資金の存在は、「地銀連合構想」の足かせになってくる可能性はあろう。

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2024年に迫る返済期限

こうした公的資金は、転換型優先株の形で注入されており、一斉転換日を迎える前に返済しないと、普通株に転換され、国が大株主に躍り出て事実上国有化されることになる。地銀の経営陣にとっては最も避けたい事態であり、実は国側にとっても大株主として関与することは責任重大であり回避したい事態なのだ。

このようななか、事実上の返済期限が迫ってきており、2年後の2024年3月末の南日本銀行を皮切りに、同年9月末には、みちのく銀行、三十三銀行、きらやか銀行の一部、同年12月末には東和銀行、高知銀行と多くの地方銀行が、順次返済期限を迎えることになっている。

このため、公的資金返済を見据え、各行はそれぞれ策を講じている。例えば、

2021年5月:合併により三十三銀行が誕生
同年7月:南日本銀行が第三者割当増資を実施(85億円)
2022年4月:青森銀行とみちのく銀行が経営統合し持ち株会社を設立
同年3月:宮崎太陽銀行が第三者割当増資を実施(60億円)