規模も業績も冴えない地銀12行

公的資金注入12地銀は、東京など三大都市圏などから離れた過疎地域を基盤とする地域の二番手三番手の小規模地銀が多い。メガバンクは無論、地銀のなかでも、大企業や地元の有力企業との取引も少ない。一方で地元の中小・零細企業との取引は、地域のトップ地銀や信用金庫に押さえられていたりする。

概して優良な貸出先を持たず、資産規模も小さいこうした地銀は、不況や金融危機など外部環境の悪化をより受けやすいなか、常に新しい取引先や運用先を開拓せざるを得ず、結果的にリスクの高い事業や取引先に貸し出しを行ったり、外国証券などへの投資に傾斜することで、不良債権化したり含み損が拡大し業績が悪化するケースを繰り返してきた。

実際、コロナ対応の政府保証付き融資の増加や、貸倒引当金の減少などで多くの地銀が増益となるなか、米国金利の上昇などにより有価証券の含み損が発生するなど、公的資金注入12地銀の業績は冴えない。

裏地付きの銀行看板
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きらやか銀行が3度目の公的資金申請

こうしたなか、2022年5月に、じもとホールディングスが、傘下のきらやか銀行への金融機能強化法に基づく公的資金申請の検討を表明し、同年6月の株主総会にて議案が可決された。

きらやか銀行は、SBIとの資本業務提携により収益力の強化を目指したが、有価証券の含み損が121億円に拡大するなど業績が悪化していた。

きらやか銀行が公的資金を申請するのは、リーマン・ショック後の2009年、東日本大震災後の2012年、そしてコロナ禍下の2022年となんと3度目になる。しかも、現在ある300億円の公的資金残高のうち、200億円の返済期限が2024年9月に迫っているのだ。

驚くべきことに、3回目の申請予定の公的資金は、コロナ禍での地元取引先支援のために設けられた「コロナ特例」により、通常は15年以内という返済期限を実質的になくすだけでなく、効率性の目標や経営責任なども求められないという。

これは、実質的に返済期限付き公的資金から半永久公的資金への借り換え資金の提供とも捉えられよう。経営体制やビジネスモデルが維持され、リストラも問われないならばと、きらやか銀行と同じように事実上、期限までに返済が難しい他の公的資金注入行が、「コロナ特例」による公的資金申請に殺到することもこの先起こり得よう。