アルコール度数の好みは二極化した
一般的にチューハイに使われるアルコールは、ウオッカ、焼酎、醸造アルコールのいずれかを使用する。「キリン 氷結」の原材料名を見ると「ウオッカ(国内製造)」となっている。
「キリン 氷結」はアルコール度数も3%から9%まであり、フレーバーの種類も多い。4月26日には「キリン 氷結 シークヮーサー」が発売され、夏に向けては「グリーンアップル」が発売予定だ。消費者はどんなシーンで何を選んでいるのか。
「意識する・しないにかかわらず、使い分けるケースも多いですね。例えば夕食がこってりした料理だと、無糖を選んでバランスをとったり、食事のおいしさを楽しめるように甘いフレーバー以外を選んだりします。一方で気にしないで好きな味を選ぶ方もいます。風呂上りには、スッキリした柑橘系のフレーバーが好まれます」
手のかかる仕事が一段落するなど、自分を慰労したい気分の時はどうなのだろう。
「『シャルドネスパークリング』のような、甘みもあって少しゴージャス感があるフレーバーが人気です。複数のフレーバーを揃えて、その時の気分で選ばれる方も多いですね」
コロナ前、消費者の節約志向やコスパ重視で、手っ取り早く酔えるアルコール度数の高いRTDが伸びた。この傾向は続いているのか。
「そういう方もおられますが、休日に飲む場合は、アルコール度数の低い商品を選ぶなど二極化しています」
オジサンの飲み物を女性、若者に広げた
それまで酒場で飲む味だった「酎ハイ」が、缶チューハイとして認知されたのは「タカラcanチューハイ」(1984年発売、宝酒造)の存在が大きい。
“元祖辛口缶チューハイ”を掲げる同商品によってRTD市場も切り拓かれたが、80年代の缶チューハイは、焼酎ベースの辛口が多く、90年前後から甘いカクテルも少しずつ増えていった。
その市場に“チューハイを変えるチューハイ”を掲げて、2001年に参入したのが「キリン 氷結」だ。ウオッカベースで果汁入りのチューハイとして発売し、若者にも訴求。飲みやすい味で支持された。現在、女性ユーザーが約5割を占める。