ビールとチューハイでは求められる「爽快さ」が違う
ちなみに「キリン 氷結」が苦戦した2018年、原さんは前職である「のどごし〈生〉」のリニューアルを担当していた。この時も消費者の嗜好と徹底的に向き合ったという。
「缶ビール類と缶チューハイでは、お客さまが求める期待値が違います。ビール類には、ビールならではの苦みやキレを求め、チューハイでは果汁の味わいやみずみずしさを求めます。同じように“爽快さ”を訴求しても中身は異なるのです」
値上げと酒税法の改正に対して
ところで5月25日「キリンビールは、缶ビール『一番搾り』など278品目の出荷価格を10月1日納品分から引き上げると発表した。缶ビールの値上げは2008年2月以来で約14年半ぶり」と各メディアが報じた。ブランドとしてどう思うのだろうか。
「お客さまにはご負担をおかけしますが、会社として、魅力を感じていただくブランドづくりや価値創造に、より一層取り組んでいきます。
氷結は、凍結レモン製法で実現した『みずみずしさ』『雑味のないクリアな味』を訴求し、ブランドコンセプトの『爽快で、気持ちいいおいしさ』をお届けしたい。チューハイでリフレッシュしたいニーズにお応えしていきます」
ビール類は2020年から3段階で変更される「酒税法の改正」とも向き合う。端的にいえば、ビールや日本酒が安くなり、第3のビールが高くなる流れだ。
一方、チューハイ類は(今のところ)2026年まで同法の改正がなく、ビール類ユーザーからの流入も起きている。ブランドには追い風で、より中身や訴求を深める好機だろう。