炭酸水市場が急拡大している。市場規模はこの5年で2倍近くになった。そんな成長市場で一番売れているブランドが「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)だ。輸入ブランドのように思われがちだが、実は「日本生まれ、日本育ち」のブランドだ。なぜ人気ブランドに育ったのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
清涼飲料で最も市場が拡大している「炭酸水」
早くも梅雨明けした沖縄地方を除き、「梅雨入り」となった。「今年の夏は暑くなる」という長期予報だが、しばらくはパッとしない天気も多そうだ。
一方で大都市の気温は総じて高く、2021年6月の東京を例にとると、最高気温が25度を超えた日は30日中24日あった。気温が上がれば清涼飲料の需要も高まり、各飲料メーカーにとっては、最需要期の盛夏に向けて注力する時期でもある。
そこで今回は清涼飲料の中で「炭酸水」に焦点を当てたい。近年で最も市場規模が拡大した飲料だからだ。同市場を牽引してきたのが4割強のシェアを持つ「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)。1904年の発売以来、118年の歴史を刻むブランドだ。
なぜ、同ブランドの人気は高く、炭酸水への支持は続くのだろうか。メーカーの活動を紹介しながら、それを手にする消費者心理も考えたい。
この5年で市場規模は539億円→957億円に
「ウィルキンソンは2021年、14年連続で過去最高数量を達成。業界でメガブランドと位置づけられる3000万箱を突破し、『3108万箱』(前年比105%)となりました。好調の要因は、消費者の健康志向や気分転換がより高まったことです。炭酸水はヘルシーでありながら、飲んだ瞬間、のどにダイレクトな刺激がある飲料として、ご評価いただいています」
ウィルキンソンのブランドを担当する、アサヒ飲料の服部真也さん(マーケティング本部マーケティング一部 無糖炭酸・果汁グループ プロデューサー)はこのように説明する。