ビールの代わりに炭酸水という選択肢

今ではさまざまなフレーバーで展開するウィルキンソン。消費者はどんなシーンでどの味を手に取るのだろうか。

「好みによって異なるでしょうが、食事の時によく買われているのが『ウィルキンソン タンサン エクストラ』です。こちらは機能性表示食品で、パッケージに『脂肪や糖の吸収を抑える』を記し、難消化性デキストリンの働きが食物繊維として含まれています」

特に肉系など、こってりした料理との相性がよいようだ。ウィルキンソンを愛飲する理由のひとつに「口の中がさっぱりする」という浄化作用もある。一方で、特に日本の消費者は脂肪分を摂り過ぎた思いを、野菜類や飲料など、何かで調整しようとする傾向が強い。

「赤ラベルの本体は、デスクワークや仕事終わり、スポーツジムに行くときなどにご利用されています。レモンやグレープフルーツなどの柑橘系は、気分を紛らわせる時に飲まれるケースが多いですね」

健康志向で、ビール系からシフトする人も増えたそうだが、興味深い話を聞いた。

「ある男性消費者の方から、『今までビールが好きだと思っていたが、そうではなく“のどごしの刺激”が好きだった』というコメントがありました」

スーパーの陳列棚
筆者撮影
ドラッグストアの陳列棚に並ぶ炭酸水

実は約120年前に誕生した国産ブランド

ブランドの成り立ちも紹介しておきたい。

「ウィルキンソン」が発売されたのは、1904(明治37)年(当時の商品名は「ウヰルキンソンタンサン」)だが、歴史はその15年前、1889年にさかのぼる。日本に定住していて、国内での商売を考えていた英国人実業家のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が、狩猟の途中、兵庫県宝塚市の山中で天然の炭酸鉱泉を発見した。

この湧水をロンドンの分析機関に依頼して調査した結果、「良質な鉱泉」という評価を得て、翌年に個人事業として鉱泉の瓶詰生産を行い、天然炭酸鉱泉水を発売した。そして1904年、湧出量の不足を理由に有馬郡塩瀬村(現在の兵庫県西宮市塩瀬町)生瀬へ工場を移転。会社組織にして「ウヰルキンソンタンサン」として発売した。

戦後の1951年に朝日麦酒(現アサヒビール)が同ブランドの販売契約を締結し、ウヰルキンソン社が製造、朝日麦酒が販売となり、1983年から、アサヒビールが商標権を取得して製造販売を始める。ロゴが「ウィルキンソン」に変更されたのは1989年からだ。

前述したように長く業務用商品だったが、2011年4月からペットボトル商品の全国展開を始めると人気に火がつき、今では3000万箱を超えるメガブランドとなった。