「認知症になりにくい」予防歯科の見分け方

では、定期受診のために通うとしたら、どんな歯科を選べばよいのでしょう?

日本でも、メンテナンス重視の歯科は年々増えていますが、まだ歯科全体の2~3割ほどしかありません。その2~3割の中にも、高度なメンテナンスをしてくれるところと、そうでないところがあります。

写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

歯周病に対する知識が浅い歯医者さんや、あまり腕のよくない歯科衛生士さんに当たると、プラークは取ってくれても歯石はまったく取れていなかったり、まだ抜く段階ではなかった歯を抜かれてしまったり……ということもあるようです。

次に、きちんとメンテナンスをしてくれる歯科医を見つけるためのポイントを記しました。

歯科医を探す際は、次の5つの項目を満たしているかチェックしてみてください。

①ホームページが充実している

今の時代、患者さんへの丁寧な説明は必須です。そのためには、ホームページで、自身が経営する歯科クリニックの理念・取り組みを情報発信することは、患者さんへの最低限の義務だと思います。ホームページがない、あっても丁寧な情報発信をしていない歯科クリニックは論外です。

②歯科衛生士さんがいる

歯科衛生士さんは、メンテナンスに力を入れている歯科クリニックに集まります。

平成28年の調査によると、約10万人程度の歯科衛生士さんがクリニックで働いていると言われています。クリニックの数は全国で7万軒程度。つまり、クリニック1軒当たりの歯科衛生士さんの数は平均1.5人程度です。

しかし、これはあくまで平均値。腕のよい歯科衛生士さんほど、自分を積極的に登用してくれるメンテナンスに力を入れている歯科クリニックに集まります。

ちなみに、歯科衛生士さんがいない歯科クリニックは問題外。「歯が痛くなったら治療する」という昔のスタイルを通しているレベルの歯科クリニックには、そもそも歯科衛生士さんは不要です。

③歯科用チェアユニットの数が多い

できれば歯科クリニックの歯科用チェアユニット数は、5台以上あると安心です。

実は歯科クリニックの歯科用チェアユニット数の平均は3台。しかし、3台ではどうしても治療が中心になってしまい、メンテナンスが十分に行えません。

近年、メンテナンスに力を入れる優秀な全国の歯科医院を中心に、歯科衛生士さんが活躍するようになり、歯科用チェアユニットを10台以上備えるような歯科クリニックも登場してきています。

④医療法人である

メンテナンスを積極的に行うには、それなりの設備・人の雇用が必要になります。

そのためには、歯科クリニックの経営的基盤が不可欠です。

一般的には、多くの患者さんに支持されて年商が1億円を超えると、個人から医療法人になることが多いようです。2016年10月の資料によると、歯科クリニック68940軒のうち、医療法人は13393軒。全体の約19.4%です。

私は、認知症専門医でありながら、歯医者さんや歯科衛生士さんと協力して包括的な治療を行う「医科歯科連携」を実践していますが、彼らと仕事をするようになって、積極的にメンテナンスをしてくれる歯科医院は全体の2~3割だと感じるようになりました。

歯科の医療法人の19.4%という割合は、不思議とこの数字に近いのです。医療法人であるかどうかは、ホームページや看板に記載されています。

⑤保険外診療のメリットを説明してくれる

歯科治療において、保険診療で行われるのは必要最低限の医療です。ゆえに、保険診療で使われる材料には、健康上のデメリットがある場合もあります。例えば、「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」。いわゆる「銀歯」ですが、これにはアレルギーの原因となる可能性がある「パラジウム」が含まれています。

このパラジウムは、ドイツでは安全性に問題があるとして使用禁止になりました。また、銀歯の場合、詰め物や被せ物の下がむし歯になる「二次むし歯」のデメリットもあります。治療の際に、保険診療のデメリットを説明してくれるかどうかも、信頼できる歯科医選びのポイントです。

お恥ずかしい話ですが、実は私は最近まで「歯科の保険外診療はお金儲けのため」と勘違いして、保険でまかなえる銀歯を使用していました。しかし、実際に調べてみたところ、本当に患者にとって安全で効果的な治療は保険外診療なのです。

例えば、保険外診療の金歯であれば、金属アレルギーを引き起こしにくく、二次むし歯にもなりにくくなります。私自身、お願いして詰め物をすべて金歯に変更してもらいました。費用はかかりましたが、健康には代えられません。

なるべく通いやすいところで、この5つを満たしている歯科医を見つけるのがよいでしょう。一生お付き合いをするつもりで、定期受診のためのクリニックを選んでください。

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