2022年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2022年6月22日)
認知症を早期予防するにはどうすればいいのか。認知症専門医の長谷川嘉哉さんは「35歳がひとつのターニングポイントだ。この頃から私たちの脳には認知症の原因物質が溜まりやすくなる。このため予防には口腔ケアが重要だと考えられている」という――。
※本稿は、長谷川嘉哉『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
認知症専門医「35歳から脳の疲労物質が溜まりやすい理由」
「認知症 国家戦略を決定」
新聞にこんな見出しが大きく躍っていたのは、今から3年前のことです。
国家レベルで取り組まなければならないほどの深刻な社会問題になってきた認知症。
それもそのはずで、厚生労働省は、団塊の世代がみな75歳以上になる2025年には65歳以上の5人に1人、約730万人が認知症になると試算しています。これは、埼玉県の人口とほぼ同じ数です。軽度認知症を含めると、認知症1000万人時代の到来も時間の問題だと言われています。
ところで、あなたは「認知症になりやすい人」と「なりにくい人」の境目がどこにあるかご存じですか?
認知症専門医である私の経験から言わせていただくと、「35歳」という年齢が、ひとつのターニングポイントです。
実は、35歳を過ぎたころから、私たちの脳には、認知症の原因物質が溜まりやすくなります。このタイミングで、あなたがこれまで行ってきた「ある習慣」を変えなければ、認知症発症リスクが一気に高くなることが、さまざまな研究で明らかになっているのです。
認知症になると、日常生活のほとんどに介助や見守りが必要になり、そのうちに徘徊や攻撃行動など問題行動も目につくようになるので、いつも誰かがついていなければいけなくなります。こうなると、家族などまわりの負担は、想像以上に大きくなります。