本気で改善したいなら「できる、できない」は考えない
加えて非常に重要な意味を持つのが、目の前の現実を“枠”にしてしまう思考姿勢です。目の前の現実を“枠”にしてしまい、“枠”の範囲で現状から出発して「どうやるか」ばかりを考えていく姿勢を持ってしまうことにも大きな問題があるのです。この姿勢が問題なのは、このように現実からの積み上げ方式で考えていくと、どうしても、創造していくのに不可欠な“飛躍”というものが生まれにくいので、到達しやすい目標ばかりを持つことになってしまうからです。
というのも、現実を起点に考えると、「できるか、できないか」の話になりやすく、難しそうな話は、すぐに「無理」となってしまうのです。
そんなこともあって、本気で改善活動をやろうとしている現場では、改善テーマを決めるとき、「できるか、できないか」は考えないようにしているのが当たり前なのです。
「困難かどうか」は別にして、やり遂げることに意味があるテーマを見つけ出すことに意義がある、ということを意味しています。
「現実を把握する」と「現実起点で考える」を混同してはならない
難しいテーマをやり遂げようとしたとき、妨げている制約がたくさん見えてきます。その洗い出した制約を一つずつ見極めるのです。
「なぜ制約になっているのか」「マイナスをプラスにする逆転の発想はできないか」などといった、制約を克服する方策を多方面から考え抜くことで、飛躍を現実のものにしていこう、といった思考姿勢が必要です。
「現実は正確に把握する」ということ自体は絶対に必要なことです。しかしながら、そのことと「現実を“枠”にしてしまわない」――つまり、「現実起点でものごとを考えない」――ということを混同してしまってはならないのです。