今、力を入れるべきは間違いなくSNS
さて、その安さを伝える手段も戦略としてはとても重要です。旅行会社へのアピールに加えて、今年の夏に間に合う別の手段を考えるとしたら、今、力を入れるべきは間違いなくSNSです。
これも国によってターゲットとなるSNSは違ってくるのですが、アメリカ人観光客を想定すれば狙うべきはインスタグラムとトリップアドバイザー。ここに日本に来た観光客からの情報発信を加速させるべきなのです。
これはまったく逆の視点で、日本人をこの夏ハワイに送る戦略を考えてみるとわかりやすいかもしれません。「まだ6月だし、この夏のハワイなんて早いんじゃないか?」と思っていたところインスタグラムで知人から、
「久しぶりのハワイ解禁、うれしい!」
「まだ日本人少ない。どこに行ってもハワイを独り占め」
「3回ワクチン打っていると、帰りも空港をすぐに出られて自宅待機も不要です!」
みたいな情報が頻繁に送られてきたら、なんとなく自分も行きたくなるものです。
特にSNSの場合、知人友人が「行きました」情報を上げると、旅行に行ってみたい気持ちが格段に盛り上がる傾向があることが知られています。だとすれば今度は日本の観光業界全体の戦略の話ですが、今やるべきことはこの6月にやってくるすべての訪日観光ツアー客にとにかくSNSで情報発信をしてもらうような戦略を考えて、それにフォーカスすることです。
SNSに上げてもらう情報はおおきく3つ。日本がいかに安いのかと、日本食がどれほどおいしそうなのか。そしてもうひとつは日本の観光スポットがいかに映えるかです。
「短期間に効果がある集客戦略」に集中すべきだ
さて、いろいろと話しましたが全体の話をまとめてみましょう。観光業界にとってインバウンドの復活は待ちに待ったビジネスチャンスです。とはいえ特に地方経済はインバウンドの立ち上がりが後回しになるうえに、これまでコロナ禍で我慢に我慢を重ねてきた関係で資金的にかつかつの状態ですから、この夏も少しでも機会損失をなくしたほうがいいでしょう。
だから今やるべきは「短期間に効果がある集客戦略に資源を集中すること」です。すべきことは現地の旅行会社への営業と紙のクーポンの売り込み、そして旅行客にSNSに情報をアップしてもらう作戦です。アピールすべきポイントは日本の安さ、日本のおいしさとそして日本の観光地の映え度合い。そこにいかに資源を集中できるかで、各観光地のこの夏の回復度合いに差がでるかもしれませんよ。インバウンド、ぜひ期待したいところですね。
さて、いよいよアフターコロナ時代が始まります。これからの経済復活の道筋を書いた『日本経済 復活の書』(PHPビジネス新書)が6月16日に発売されます。こちらもぜひお読みください。