この夏「九州の敵は北海道」になるかもしれない

つぎにこの同じ視点を少し発展させましょう。今、自治体の観光担当者から旅行会社やバス会社の訪日観光部門まで、営業をかけるのだったら同じ理由で重要なのは間違いなく現地の旅行会社です。

基本的に「コロナが明けたら日本に旅行したい」と思っているアメリカ人、韓国人、中国人、タイ人といった人たちはたくさんいらっしゃるのです。その中でも意欲のある人が「限定解除されるらしい」というニュースを耳にして、まず連絡をするのが現地の旅行会社です。

そうなると限られた開放枠を観光地同士が取り合うことになるわけです。この夏という極めて短期間の戦いに関して言えば、九州から見れば「敵は北海道」なのかもしれないわけです。ですから普段は同じ日本の観光地同士なかよく一緒に業界を盛り上げて行きたいところを我慢して、今地元が考えるべきことは「抜け駆け営業」です。

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地元の魅力よりも「円安」アピールが効果的

さて、ではどうやって地元の魅力をアピールするのか? 実は営業トークとしては地元をアピールする必要がありません。その代わりとても簡単な呪文があります。それが円安です。

アメリカ人観光客を例にとって考えましょう。円安でちょうど足元では1ドル=134円50銭近辺(6月9日時点)になっています。日本人が相次ぐ値上げラッシュで疲弊するこの円安もアメリカ人側から見れば明らかなパラダイスです。

先ほど挙げた長崎の路面電車の一日乗車券600円はドルならば4ドル50セント! これはハワイのワイキキトロリーの一日券25ドルを何の疑問もなく支払っているアメリカ人にとってはアンビリーバボーな割安価格です。

同様に福岡県の大宰府のお守り800円はアメリカ人なら6ドル、ユニクロのUTが限定価格なら10ドル50セント、そして100円ショップはアメリカ人の感覚なら驚きの80セントショップです。そもそも海外ではアメリカでも中国でもタイでも日本の100円ショップの価格は現地では180円前後というのが相場ですから、日本の百均なら倍近く買い物ができるという感覚でしょう。この安さをアピールすることで買い物天国日本の魅力を伝えるべきでしょう。