岸田首相は“例外”を引き出すよう試みたのか
対ロシア制裁は、ロシアより日本経済により多くの打撃を与えるだろうし、何より、ロシアの日本に対する恨みを募らせる。そうでなくても日本の周りには、日本を憎む核保有国がロシア以外に2国もある。この上、ロシアまで敵に回して、日本政府はその後の対応策を考えているのだろうか?
岸田首相は、G7の足並みを乱さずに、何らかの例外を引き出すことは試みなかったのだろうか。日本の地勢的状況や、エネルギー調達における非常に困難な国情を説明することは、しなかったのだろうか?
ハンガリーのオルバン政権は、4月3日に行われた総選挙で大勝し、国民の揺るぎない支持を確認した。勝利宣言でははっきりと、キリスト教を基盤にした民主主義政治を打ち出し、ハンガリー・ファーストの方針を表明した。だからこそ、EUはオルバン首相を毛嫌いし、主要メディアも常に彼を独裁者のように書く。
国際社会で一向にうまく立ち回れない日本
しかし、ハンガリー国民には、オルバン氏の国民を守ろうという強い意志がしっかりと伝わっていたのだろう。それが4月の選挙では、「この選挙には平和と安全がかかっている」という国民の思いとなり、オルバン勝利に繋がった。そして、その支持に背中を押されて、オルバン首相は今回、単独で制裁案に反対した。
この行動が、世界の多くの西側諸国で、「良からぬ行動」として報道されることも想定済みだった。しかし、これをしなければ、ハンガリーは間違いなく経済が崩壊した。
では、日本は? G7やEUの尻馬に乗っても、誰も日本のことを褒めてはくれない。政治家の役目とは、国民の命と国土を守ることだ。もちろん日本にとってもそれは同じはずなのに、複雑な世界の中で一向にうまく立ち回れない日本政府を、私は大変歯痒く思う。
付け加えるなら、ハーベック氏のような環境原理主義者が政権の中枢にいるドイツも、やはり危ない。ハンガリーは小さな国だが、自国の指導者を信頼できるハンガリー国民は、ドイツ人や日本人よりも幸せかもしれない。