夫に違和感
ところが、辻川さんは3人目の妊娠がわかった頃から、夫に違和感を抱き始める。なんとなく、辻川さんに対する夫の態度が冷たく感じられるようになったのだ。
冗談まじりに辻川さんが、「最近冷たくない? もしかして浮気してる?」とたずねると、当時34歳の夫は、「こんなおじさんがモテるわけないだろ」と答えた。
やがて2015年、辻川さんは長女を出産。夫は長女の誕生を喜んだ。しかし、相変わらず忙しい夫は家にいないことが多いため、家事も育児も辻川さんのワンオペ状態。しかし長男のときは子煩悩といえるほどかわいがり、次男の時は育児に協力的だったにもかかわらず、この頃の夫は家にいる日でも、長女の育児に関わろうとせず、長男や次男にも関心が薄いようだった。残業や出張で不在がちな夫だが、辻川さんは、「家にいても家事も育児もやってくれないなら、いないほうがマシ」と思うようになっていた。
気づけば、長女を妊娠したのを最後に、夫とは完全にセックスレスに。娘を妊娠するまでは、夫婦一緒に入浴することもあったが、それもしばらくない。そこである夜、辻川さんは勇気を出し、酔ったふりをして夫を誘ってみた。
辻川さんが腕を絡めると、すかさず夫は、「やめろ!」と言って振り払う。まるで汚いものでも見るような目で見られた辻川さんは、ショックを受けるとともに、さすがにおかしいと思った。
「ずっと前から違和感はありましたが、3人の子育て中で、なかなか決定打にたどり着くことができませんでした。連絡先のメモなどが出てきても、『キャバクラ嬢からもらったんだよ』などと言って誤魔化されて、おかしいおかしいと思いながらも、ずっと信じようとしていました」
夫は結婚当初から、ゴルフや釣り、キャンプなど、自分の趣味にお金を使う人だったが、最近は特に散財ぶりが目に余るようになっていた。夫は給料すべてを家に入れ、「自由に使っていいよ」とは言うものの、毎月クレジットカードで、給料を使い果たしてしまう。そのため辻川さんは、子供の将来のことを考え、長女が2歳になる年に保育園に入園させ、事務のパートに出ることにした。