とことんローカライズにこだわった理由
中国では一般的なサービスとなったバッテリーのシェアリングだが、海外と日本のサービスでは決定的な違いがある。海外はデポジットが前提だが、日本はそれがない。デポジットなしのほうが借りやすいし、利益につながるという判断である。
「リスクヘッジのためには必要かもしれませんが、デポジットは日本的ではありません。開発費用はかかるし、利益を考えるとやらなくていいことかもしれないけど、日本で広く展開する上で大事だったんです」
1円でも多く稼いだ方がいいという意見もあった。だがローカライズすることにこだわった。バッテリースタンドにセットアップされたサイネージは日本でパッケージ化され、売り物になった。
「その地域のチャンピオンケースがありますが、もちろん日本のいいところを押し付けるだけでなく、世界中のいいものをマージして、通用するなら吸収する。情報は共有した上でその地域で独自の進化を遂げていく。多様性をもたせることが大事なんです」
ポケモンGOとのコラボが売り上げアップに寄与
そして、秋山の根幹をなすエンタメとのつながりも、ビジネスの可能性を広げてきた。街中を歩き回るスマホゲーム「ポケモンGO」ではゲームの地図上にインフォリッチのチャージスポットが出てくる。ポケモンGOはスマホの位置情報を使うためバッテリーの消費が激しい。このためゲームを遊ぶため外出先で充電器を借りるというニーズが多いという。
「ポケGOがイベントをやる時は、ぼくたちも20%売り上げが上がります。技術だけでないトレンドとの融和が僕たちの強みなんです」
商品の利便性の次に大事なのは付加価値とトレンド。その企業理念にはエンタメ、文化に造詣が深かった秋山の生き方が投影されている。
「中国市場でサバイブしたものを、香港でメトロポリタン仕様にして、日本できめ細やかさを足す。インフォメーションをリッチに商品をブラッシュアップしていく。私たちの会社名にはそんな想いも込められているんです」