失業したウクライナの技術者が北朝鮮に?

北朝鮮は3月24日、核弾頭を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」のロフテッド軌道での発射実験に成功したと発表したが、この時、平壌近郊のミサイル発射場では、ウクライナ人技術者が立ち会っていた、と国際軍事筋はみている。

写真=AFP/時事通信フォト
北朝鮮の金正恩委員長が、試験発射前に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)とする国家メディアの報道の近くを歩いている様子。北朝鮮の公式朝鮮中央通信が25日に報じた。

2014年のウクライナ危機後、ロシアがウクライナ製ミサイルの輸入を中止したため、職を失ったウクライナのミサイル技術者が北朝鮮に招かれ、技術開発を指導した可能性があるのだ。

北朝鮮は2017年頃から、短距離ミサイルを含めミサイル技術を格段に向上させており、「ウクライナ・コネクション」を無視できない。

米国を脅かしたミサイル製造企業「ユジマシ」

ウクライナへの無差別攻撃を続けるロシア軍は3月11日、中部のドニプロにもミサイル攻撃を行い、空港や民間アパートに大きな被害が出た。ロシアが今後、ドニエプル川以東の「ウクライナ左岸」の制圧を目指すなら、流域の戦略的要衝であるドニプロ攻防が焦点になる。

ドニプロは2016年までドニエプロペトロフスクと呼ばれ、人口100万人近い重工業都市。旧ソ連指導者、ブレジネフ共産党書記長がこの町を権力基盤にし、政権掌握後、元同僚をクレムリンに招き、「ドニエプロ・マフィア」を形成した。

スターリン時代以降、軍需産業や製鉄、化学工業が集積され、大学と一体化した軍事技術研究も進展。国営ミサイル製造企業「ユジマシ」はソ連時代、米国を震え上がらせた大型ICBM、SS18を製造していた。ユジマシは冷戦後もロシアに各種ミサイルを輸出したが、14年以降は取引が中止され、工場の多くが操業を停止した。