ヤオコーの川野清巳社長は、「わが社の粗利益率の約0.3%は、パートナーさんたちの働きぶりによるものです」と雑誌のインタビューで述べている。ヤオコーは、パート従業員にも決算賞与を支給しているめずらしい企業である。売上高経常利益率が4%を超えた場合は、その一定部分を、パート従業員にも賞与として支払っている。パート社員たちは、その働きぶりに対する尊敬の意味も込めて、ヤオコー社内では、「パートナーさん」(一緒に働いている仲間)と呼ばれている。
米国発の標準化されたチェーンオペレーションとは異なり、独自の「個店経営」を標榜するヤオコーの店舗運営は、正社員と一緒に働くパートナーさんたちによって支えられているのである。その実際を見てみることにする。
斉藤福子さん(60歳)は、浦安東野店のクッキングサポート・コーナーで働いているパートナーさんである。02年、千葉県に初めて出店した浦安東野店に、POPライターとして採用された。県内の大手小売業の2社で10年ほど働いた経験がある斉藤さんは、従業員募集のチラシを見た旦那さんの勧めで、ヤオコーのパート社員に応募してみた。「最初の説明会に参加したときから、自由にやらせてくれそうで、いい会社じゃないのかなと思ったのです」(斉藤さん)。
開店後しばらくはPOP書きの仕事を担当していた斉藤さんが、現在のクッキングサポート・コーナーを任されるようになったのは、以前の担当者が異動でいなくなってしまったからだった。浦安東野店の木村俊夫店長(34歳)は語る。
「千葉県内ではほぼ無名の会社でしたから。開店当初からいまでも、パートナーさんの募集にはとても苦労しています」(木村店長)