ダイバーシティは表向き「日本人的な外国人」を採用
そんな学生に「サークル活動は何をやっていたの? どんなアルバイトをしていたの?」と質問していたとしたら、えっ、何それと驚くのも無理はない。思わず笑ってしまったのは、複数の回答者から出た次の感想だ。
「日本人らしい外国人を求めていると感じた」
日本人らしい外国人っていったいどんな人なのか、よくわからないが、留学生はそう感じたらしい。その根底にあるのはダイバーシティ(多様性)とかけ離れた日本企業の感覚だ。こんな疑問の声もある。
「外国籍採用の目的の一つは多様性を高めるためだが、採用活動中の採点基準は日本人と同じことがおかしい」
昨今の大手企業の経営者は何かというと「グローバル化」や「多様性」を口にする。多様性とは異なる文化・価値観を尊重し、それを受け入れることで化学反応を起こし、企業の競争力を高めるという意味で使われる。
ところが足元の採用では“日本人っぽい”外国人を求めようとする。
工藤専務はこう指摘する。
「大手企業になればなるほど採用活動の採点基準は日本人と同じという会社が多い。おそらく経営トップが外国人の採用促進や女性の活躍というダイバーシティを推進しようと言うので、人事も外国人を採ろうとする。しかしダイバーシティのことをよく理解していないために一定の枠を決めて、できれば日本語がよくできて、日本のことがよくわかっている外国人を採ろうとする傾向があるのではないでしょうか」
仮に“日本人っぽい”外国人が採用できたとしても、とてもではないが多様性による企業競争力の強化は決して望めないだろう。「多様性」といかに真逆の選考になっているのか、具体的な証言もある。
「知識よりも“日本語”が優先された」
「留学生に対して、SPIテストで一般常識と国語の問題を出すところ」
「日本語だけで表現するのは難しいし、ほとんどの面接官が英語を話せない」
SPIテストなど適性検査を苦痛に感じている留学生は多い。適性検査は基本的には基礎学力や性格を見るためのものであるが、中には引っかけ問題もあり、限られた時間にスピーディに解くことが求められる。中学・高校・大学と受験をくぐってきた日本人には苦ではないかもしれない。