狡猾な欧州メーカーの振る舞い

もちろん、BEVの需要は無視できない規模にはなるだろうし、より長期的視点ではBEV化はさらに進むだろうから、BEVへの投資は無駄にはならない。

このあたりの振る舞い、欧州企業は非常に狡猾である。おそらくメルセデスベンツもアウディも2030年以降もPHEVが中心にはなるだろうが内燃機関搭載車を作り続けることになるだろう。2030年時点ではまだ内燃機関搭載車のほうが多いかもしれない。

本格的なBEVへの置き換えは、現在のリチウムイオン電池の欠点が解消された新型バッテリーが開発・量産され、充電・送電インフラが構築されてからではないだろうか。それが実現するのは2040年か2050年か、当分先のことのだろう。

BEVを促進していたドイツ政府もその事実に気づいたのか、2030年の「EV化」目標の数字にBEVだけでなく内燃機関を搭載するPHEVも加える決断をしているのである(*7)

*7 Germany includes plug-in hybrids to achieve target of 15 million EVs by 2030

日本メーカーはナイーブすぎないか

日本メーカーはどうだろう。ホンダは2040年に世界の販売のすべてをBEVとFCEVにすると発表し、カーボンニュートラルの実現に開発資源を集中する、としてF1から撤退してしまった。

写真=iStock.com/Derek Brumby
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トヨタはカーボンニュートラルの実現のためには各地域の発電構成やインフラなどをふまえ、BEVだけでなくマルチソリューションで対応すべき、というきわめてまっとうな主張を行ってきたが、BEVこそ唯一の解決策と信じる欧州の環境保護派から批判され、BEV生産の大幅積み増しを発表せざるを得なくなった。

日本のメーカーは少々真面目すぎるというか、正直すぎるような気がする。もうすこし本音と建前を使い分けてもよいのではないだろうか。

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