どんな人にも必ずよい部分は見つかる
上司は選べる、断捨離できる。にもかかわらず上司と付き合っているのは、あなたの選択である。覚悟を決めて、厄介さと向き合おう。厄介な上司との付き合いは、持久戦である。一から十まで厄介さで構成されている上司はいない。
ミスをした部下を抹殺するかのごとき勢いで罵倒する鬼上司であっても、帰り道、雨にぬれた子犬を自宅に連れ帰っている優しい人物であるかもしれない。子犬への優しさをなぜ部下に向けられないのかという疑問は置いておいて、完全無欠の悪上司は存在しない。
向き合おうと決めた厄介な上司を分析・分解していけば、よいところが見つかる。参考になるのが「よかった探し」である。
僕がティーンだった頃にテレビ放映されていた世界名作劇場の名作『愛少女ポリアンナ物語』で登場するゲームである。物語の詳細はウィキペディアなどで各自調べていただきたいが、ひとことでまとめると厳しい境遇におかれた主人公ポリアンナが負けずに頑張る物語である。全サラリーマンに見てもらいたい傑作だ。
厳しい境遇を乗り越えるためにポリアンナが採用した遊びが「よかった探し」だ。どんなに不幸な出来事があっても、また、どれほど性格が悪い人物がいても、よい部分はあると信じて、「よかった」を見つけ、それを糧に歩いていくというゲームである。
探しにくい「よかった」のほうが「よかったは大きい!」ととらえるのだ。ただし、ポリアンナのように人生のあらゆるシーンで「よかった探し」をしていると、24時間ポジティブ人間と揶揄されるのでご利用は気を付けてもらいたい。
言葉にすることで意識に強く刻まれる
この「よかった探し」を厄介な上司限定でつかってみるのだ。厄介な上司であればあるほどよかった探しを通じてよかった点がみつかったときの感動は大きい。厄介な上司の「よかった」は希少だ。見つからない。その「よかった」を手帳やノートに書いておく。心でよかったと思うより、言葉に落とし込むことで「厄介な上司でもよいところはある」と意識に強く刻まれる。
実は『愛少女ポリアンナ物語』でも、登場人物のジェミーがよかったを「喜びの本」と名付けられたノートに書き留めていて、「よかった探しの天才」とポリアンナから褒められるシーンがある。書くことの優位性を世界名作劇場が証明しているのだ。
厄介な上司の厄介さからよかった点を抽出して、向き合っていくためには、圧倒的少数のよかった点を意識に強くもたなければ無理である。
そのためには、数少ない「よかった」を意識に持ち続けることだ。そして、上司のよかった探しを継続すること。ある程度の期間、「よかった」を探し続ければ、厄介な上司のうち数パーセントはよい要素があることがわかる。よかったと書き留めることでよかったの蓄積ができるようになる。僕らの手帳がポリアンナの喜びの本になる。