予測が揺れ動く中で方向感覚を保つには
とはいえ、「マーケティングの活路は、チョロチョロと動き回る探索から生まれる」という話に不安を感じる人たちも少なくないだろう。たしかに、チョロチョロが単なる右往左往に終わってしまっては悪手となる。
では、そこで右往左往に陥らないために、マーケターは何に頼ればよいのか。予測が揺れ動き、計画が定まらないなかで未来に向かう歩みを着実に積み重ねていくには、組織や個人が「自分たちは何者なのか」「何をめざして日々の行動を続けていくのか」という戦略的な方向感覚を保つことが重要である。未来に向けて自社/自分の可能性をどのように広げていくかを考えるという意味では、ビジョンと言い換えてもよい。
ビジョンと予測は、ともに組織や個人が未来に向けた行動を続けていくための言明だが、その役割や成り立ちは異なる。ビジョンとは、組織や個人の未来に向けた行動をどのように進めるかという「意思」の表明である。ビジョンを予測しようとする組織や個人はないだろう。
「予測は困難だが、ビジョンは揺るがない」。このような状況を確保できている企業は、コロナ禍の下でも動きを絶やさず、元気に市場の可能性をとらえていくことができている。モスバーガーは、そうした企業のひとつである。