泥沼化すればロシア国内の反感も高まる
実際、これほどの抵抗を見せるウクライナの背後に国際社会が結束したのは、プーチン大統領にとって大きな誤算だったというアメリカでの報道も増えている。
戦いが長引けば長引くほど経済制裁が効いてきて、ロシア国内の混乱もエスカレートする。そうすればロシア国民のプーチン大統領への反感が高まりその立場も危うくなるだろう。
しかしそのためには想像を超える大きな犠牲を払うことも彼らは分かっている。ユーギニーは言う。
「戦争が長引くほど市民が殺されていく。でもウクライナは絶対に屈服しない。このままでは泥沼になるだろう。経済制裁も含め国際社会の協力がもっと必要だ」
「こんなふうになるなんて思ってもいなかった」とため息をつくのは前出の留学生ダリアだ。
「私たちウクライナ人は誰も侵略したことがないのに、2014年のクリミア半島侵攻からずっと戦っている。今は心から平和が欲しい」
「ロシアと戦っている日本を支援している」
最後に興味深かったのは、ウクライナ人のサーシャが日本の北方領土の話を始めたことだ。
「プーチンが狙う北の島々をめぐってロシアと戦っている日本を支援(=応援?)している。第2次世界大戦で失った島々を取り戻せるよう願っているよ」
一般のアメリカ人は日本の北方領土問題に関心もなければ知識もほとんどないので一瞬意外に感じたが、同じようにロシアとの歴史的問題を抱えた国としての親近感を持たれているという面では当然かもしれない。
今回は日本人からのウクライナへの支援の輪も広がっていると聞いている。
21世紀のグローバル世界はネットでつながり、特に若い世代の情報共有は量もスピードも20年前とは桁違いで、その分支援の方法も選択肢もずっと増えている。一方で情報がシャットアウトされ当局によってコントロールされた地域とでは、意識の分断が深刻だ。しかし集会に参加している若者たちからは、抗議の声を上げることでその分断が縮まっていくことに希望を見いだしているように感じられた。
最後にウクライナ人パウロの言葉で締めくくりたい。「日本も多くのサポートをしてくれていて本当にありがたい。これからも真実を伝え続けてほしい」