早稲田に入りたいから、全学部受ける

ただ、こうした風潮は今に始まったことではないと思います。僕が受験生だった頃にも、中には「早稲田大学に入りたいから全学部受ける」という友人がいました。早稲田に入れさえすればどの学部でもいいなんて、僕には謎でしかありませんでした。

大学は何かを学ぶために入るところ。何を学びたくて行くのか、本来の意義を見失ってはいけないと思います。大学入学はゴールではありません。本当は卒業後の人生のほうがはるかに長いのです。大学は、その長い人生を豊かにするために自分の興味・関心事を学ぶ場所だということを、親を含めた大人たちは若者にきちんと伝えるべきでしょう。

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親世代の学歴観をアップデートする必要がある

また、最近の大学入試は、従来のように偏差値を問うものやワンチャンスのものばかりではありません。高校での成績や面接などで合否を決める総合選抜型入試のような選抜スタイルも普及しつつありますし、一般入試を複数回行う大学も増えています。

このあたりは、今の親世代が経験してきた受験とは違うのではないでしょうか。ですから、子どもが受験期に入ったら、親自身も自らの学力観や受験に対するイメージをアップデートしていく必要があるのではと思います。

冒頭の事件を起こした男子高校生は、従来のような学力ヒエラルキーの頂点、東大理科3類をめざしていました。ここの学生の多くは医学部へ進学するので、彼も医師をめざしていたと報道されています。しかし、目標を「すばらしい医師になること」ではなく「東京大学の最難関である医学部に入ること」に置いてしまった。ここに、受験や大学に対する考え方の歪みがあります。