今年起きたアクシデントは来年も起こる
もう一つは、当日に起きるアクシデントです。これは「試験会場の気温が著しく寒くて(暑くて)集中できなかった」「緊張のためおなかを壊してしまった」「当日になって風邪をひいてしまった」などの、当日になって初めて分かる事故的な環境要因です。
今年の試験当日に何か不便を感じたのなら、来年もそれを感じない道理はありません。先ほども言ったように、入試会場においては「負け筋を一つでも減らす」ことが勝利へ直結します。
仮に寒くて集中力を切らしてしまったのなら、来年は寒くないように重ね着用の服を持っていくとか、ブランケットを用意するとか、そういった対策を練る必要があります。なんてことないように聞こえるかもしれませんが、これもまた、受験戦略の一つとして必須事項にあるのです。
浪人生活では、ここまでで書きだした「敗因」をすべてつぶしていくことが目標となります。すべての敗因をつぶし切ったうえで、自分の強みを理解することができれば、きっと来年は望ましい結果が出るでしょうし、敗因をつぶし切ることができなければ、また同じような結果になるかもしれません。
敗因分析は、この一年間、自分がいかに怠惰であったか思い知らされるような苦痛を伴うものです。しかし、その痛みを甘んじて受け入れた先に合格があります。もし本気で浪人されるなら必ず行うといいでしょう。
遊びの誘惑を断ち切る方法
浪人生の不合格要因で一番多いのは、やはり「途中で遊んでしまう」ということでしょう。4月の時点では僕よりもずっと勉強ができたはずなのに、気が付いたら教室から消えていたなんて人もいました。遊ぶのが楽しいあまり、勉強をさぼって遊びに行くようになってしまったのです。
ひとたびSNSを開けば、大学に進学していった同級生たちのキラキラした日常が嫌でも目に入ってくる時代です。特に楽しい情報であふれかえるゴールデンウィークや夏休みなどは、よほどのことがない限り、スマホを開くことすら避けた方がいいでしょう。
正直に言えば、僕自身、勉強をさぼって遊びに行きたいと思ったこともありました。でも実際にそうしようと思ったことはありませんでした。それは、浪人生という不安定な立場に置かれていることを強く自覚していたためです。
そもそも、浪人生とはとてもぜいたくな存在です。本来なら社会に出て働いている人も多い中で、自分の受験戦争は一度終わったのにもかかわらず、どうしても諦めがつかないから、「あえて」浪人生として勉強し続けるわけです。
誰も彼らに対して「勉強してくれ」なんて頼んではいません。むしろ、アルバイトでもなんでも、取りあえず社会に出て働いてくれた方が、働き手が増えて社会全体の貢献になるでしょう。
ですが、学費を稼ぐためにバイトしながら勉強している浪人生なんて、そう多くはありません。少なくとも、僕は自分以外でバイトしていた浪人生を知りません。そうなると、浪人生を浪人生たらしめるアイデンティティの中核は、ただ「勉強している」という1点に集約されます。
場合によっては家庭を持っている人もいる年齢なのにもかかわらず、あえて働かず勉強に集中するというところに、浪人生が浪人生である意義があると僕は思うのです。それなのに、勉強することをやめて遊び始めてしまったのなら、それは働く意欲も、勉強する意欲もない、真の意味でのニートになってしまいます。悲しいことです。