落ちた要因をノートに書き出す

では次に、具体的に何を気にするべきか。浪人など失敗が確定したときに、必ずやらなくてはいけないことは、「自分がなぜ失敗したのかを分析すること」です。

意外かもしれませんが、受験において、一番まずいことは「難しい問題が解けないこと」ではありません。「みんなできることができないこと」です。

平均的な問題を取りこぼさず、あとは少しだけ得意な分野で差をつければ十分に勝てるのが入試です。つまり、「勝ち筋を増やす」よりも「負け筋を減らす」という考えで臨むべきですし、その戦いで負けてしまった以上は「自分の負け筋は何だったのか」を考えて、次回こそは同じ轍を踏まないように注意しなくてはいけません。

僕も経験があるのでわかりますが、不合格通知が届き、浪人が決まったばかりの方は、きっと信じがたい現実を目の前にして、呆然とされているかもしれません。

ですが、あまり時間は残されていません。自身の「負け」が確定した直後の「この瞬間」こそ、一番記憶が残っているベストタイミングです。1秒ごとに来年の合格確率がすごい勢いで減っていくと思ってください。

つらいかもしれませんが、「なぜ自分は落ちてしまったのか」考えられる要因を、どんなさまつなものでもよいので、すべてノートなどに書き出しましょう。

次に、書きだした要因を分類していきます。一口に「不合格の要因」といってもたくさんの理由が考えられますが、大きく分けるなら2種類があります。

受験で勝つには細かい戦略も大事

一つは当日までの準備段階での不備です。これは「世界史の中国史について理解が浅かった」などの各教科・各分野における準備不足や、「過去問演習が足りず、問題を解き始める順番の戦略が練り切れなかった」などの戦略レベルでのミスを指します。

受験勉強というと、たくさんの知識を詰め込んで臨むというイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。もちろん知識も必要ですが、しかし、知識だけに頼らずとも、知恵と戦略でどうにかなるのが受験勉強の面白いところでもあります。

これは日本最難関の入試問題が出題される東大でも例外ではありません。むしろ東大は得点戦略が非常に重要。戦略なしでは太刀打ちできません。東大受験生はみんな「得点を稼ぐ問題」と「捨てる問題」を設定して独自の得点戦略を練ったうえで、受験に臨むのです。

例えば、僕は英語の文法問題が非常に苦手だったので、ここに関してはほとんど問題を見ずに勘でマークシートを塗りつぶしていました。その代わり、ここで浮いた時間を使って英文を要約する問題や、英作文などに全力投球して得点を稼ごうとしたのです。

これは別にふざけているわけではありません。どうせ考えてもわからない上に、得点期待値も低いであろう文法問題で貴重な5分を使うなら、文法は5秒で解き、余った4分55秒を別の問題に回したほうが効率的だろうという判断をするわけです。こうした判断の積み重ねが、得点戦略となります。

「せこい」と思われるかもしれませんが、まずは結果が全てです。試験に合格しなければ、また浪人の苦しみがやってきます。合格するために、戦略を立てて点をかき集めるというのは、非常に有効かつみんながやっている戦術です。こういった戦術レベルで、自分に問題はなかったかをしっかり確認します。