夏休みを超えると現役生に逆転されるケースも…
まず、浪人すると決めたなら、絶対に守らなくてはいけないことがあります。それは、「志望校を変更しないこと」です。
浪人生は現役受験生よりも1年多く勉強をします。普通の受験生が1年ちょっとしか時間をかけられないところを、2年かけられるのです。しかも、たいていの場合4月・5月時点の模試は、それまでよりも良い結果が出やすい。それなら、現役生に負ける道理はないようにも思えるかもしれません。ですが、ここに落とし穴があります。
いったい、なぜ志望校を変更してはいけないのでしょうか。それは、浪人したからと言って実力が大きく伸びるわけではないし、浪人生が学力的に大きなアドバンテージを持っているわけでもないためです。
浪人生の受験戦争は、現役生の時の経験があるので、もともとある程度成績が伸びた状態から始まります。「“ちょっとだけ”強くてニューゲーム」(※)といったところで、確かに4~7月くらいまでの間は、浪人生の方が現役生よりも成績が良く出る傾向にあるといいます。
しかし、このアドバンテージも夏休みを超えると一気に縮まります。場合によっては現役生に完全に逆転されるケースもあります。
春の模試で自分を過信するな
浪人生が勉強する内容は「1年目にどうしてもできなかったこと」や「1年目にやったけど忘れてしまったこと」などが中心となりますから、どうしても劇的な成長を遂げるのは難しくなります。
一方で、現役生は夏休みの間に「自分の弱点」を総ざらいして、一気に実力を伸ばしてきます。ですから、春の模試の結果で油断していると、一瞬で現役生に追い抜かれてしまうのです。
春の模試で出る実力は、まったく自分本来の実力ではありません。しかし、これらの事実をまったく理解せずに「1年余計にあるし、模試の結果も良かったし、志望校はもう少し難しいところにするか!」などと楽観的に考えてしまうと、地獄を見ることになるのです。