小物ではなく大胆に取り入れると効果アリ

結果からすると鮮やかな暖色系の色のほうが脳の興奮レベルを高め、覚醒を促し、集中力をアップさせる効果がある、というのがその理由でした。一見、快適だと思われた淡い色は、くつろぎ感を生み出してしまうため、意欲を掻き立てられなかったのです。

他にも2014年に報告されたタイのマヒドール大学の研究によると、赤と黄色は覚醒、興奮、精神活動に関連する「ベータ波」を高め、脳活動を活性化させることが分かっています。これらの色は人間の脳や神経活動を刺激し、より活発にさせ、心拍数の増加をもたらします[4]。

研究では心拍数が学習能力に関与している可能性があると指摘しており、赤と黄色の部屋は、心と身体の機能を活気づけることも確認されています。

研究では暖色系は赤と黄色についてのみ調査が行われていますが、赤と黄色の混合色であるオレンジ色も学習能力を高めるはたらきがあるのは間違いないでしょう。さらに鮮やかで濃い色であれば、鎮静色の青であっても、赤や黄色に続く効果を得られることも分かりました。

さきほど、青は創造性を高めるとしたコロンビア大学の研究をご紹介しましたが、青の持つ静かで穏やかな心理的作用は、人間の行動を探索的にします。

実際に、色をどのように扱えばいいのかというと、筆記用具のような面積が小さいものはあまり効果がなく、デスク周りに赤や黄色、または青のパーテーションを置いたり、カーテンやブラインドにそれらの色を取り入れたりすることで効果が得られやすくなります。

休憩時間は観葉植物を眺めたほうが良い

他にも「緑」が効率や成績を高める効果があることが分かっています。それは「休憩時間に緑を見ること」によってもたらされるはたらきです。

写真=iStock.com/OKrasyuk
※写真はイメージです

2015年に発表されたメルボルン大学の調査では、150人の学生を2つのグループに分け、パソコンの画面に出てくる特定の数字が点滅したときに特定のキーボードをタイプする、という少々退屈な作業を行ってもらい、作業の途中で40秒の休憩を入れ、一方のグループにはコンクリートの屋根の画像を、もう一方には緑あふれる屋根(屋上庭園)の画像を見てもらいました。