※本稿は、南涼子『一瞬で心が整う「色」の心理学』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
アイデアがほしい時、パソコンのモニターは青色
仕事の効率は勤務時間や待遇面だけでなく、働く場所の環境に大きく左右されます。仕事場の色は、普段は特に意識しなくても確実に仕事の成果に影響を与えています。では、仕事の意欲を湧かせて、業務のパフォーマンスを高める空間の色とはどんな色なのでしょうか。
実は一概にこの色が良いといえるものではなく、業務内容によって生産性を高める色と低下させる色がある、というのが正解です。
カナダのブリティッシュコロンビア大学では、色で作業効率にどのような違いが生じるのかを調べています。研究では600人を対象に6つの課題について、パソコンのモニターを赤にした場合と、青にした場合で明らかな作業効率があることを2009年に明らかにしています[1]。
赤は記憶力を必要とする作業や、細部への注意力が必要な作業の効率を高め、そのパフォーマンスは青に比べて31%も向上していたことが分かりました。
一方、ブレーンストーミングや新しいアイデアを生み出すような創造性が求められる場面では、青の環境下で約2倍の能力が高まることが判明しています。
仕事が捗るのは「真っ白な職場」より「カラフルな職場」
赤が注意力を必要とする業務に向いている理由として、報告では赤は停止信号や救急車、危険を連想させ、人間に「間違いやリスクを回避したい」という気持ちを抱かせるためと説明しています。
精神を安定させる青は穏やかな空や海を連想させることから、安全や平和な気持ちを呼び起こし、人を肯定的な気分にさせ、新しいものを探求したいという気持ちが促進され、創造性が高まると推察されています。
つまり「赤」は、「校正作業など細部に目を向けてミスを防ぐ業務」に適しており、「青」は「新製品の開発」や「クリエイティブな作業」に取り入れると良いということです。
また、興味深いことに、この研究のなかで赤いパーツと青いパーツで子供のおもちゃをデザインさせた場合、赤いパーツで作られたおもちゃは実用的で、青いパーツで作られたおもちゃは独創的なものになることも報告されています。
いくつかの研究では色が豊かな職場は無彩色の職場よりも作業成績を向上させる傾向があると述べており、白の環境で作業をすると「仕事の速度」を遅らせ、多くの「エラー」を生じさせることを指摘しています。