※本稿は、南涼子『一瞬で心が整う「色」の心理学』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
植物だけがもつ栄養素「フィトケミカル」
私達の身体をつくり、エネルギー源になる大切な3大栄養素といえば、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」ですが、これに「ビタミン」と「ミネラル」が加わると5大栄養素になります。ビタミンとミネラルは身体の調子を整えるはたらきがあるため、意識して摂る必要があります。そこに第6の栄養素「食物繊維」と、第7の栄養素「フィトケミカル」が加わると、7大栄養素と呼ばれます。
なかでもフィトケミカルとは、ギリシャ語で植物を意味するフィトまたはファイト(phyto)と、科学のケミカル(chemical)を合わせた言葉で、「ファイトケミカル」とも呼ばれています。これは「植物だけが作り出すことができる化学物質」(植物化学物質)のことで、その成分には野菜や果物の色素や香り、アクや苦みも含まれています。野菜、果物以外では豆類、芋類、海藻類、お茶やハーブなどにも存在しています。
なぜ、主に植物にフィトケミカルがあるのでしょうか。
自ら動くことができない植物は、太陽の紫外線による酸化や虫などの外敵から身を守るために、色や香り、苦みを持ったオリジナルの化学物質を作り出してきました。そのなかでもよく知られているのが、フィトケミカルであるリコピンやポリフェノール、フラボノイド、クロロフィルなどです。
積極的に摂取するとがんリスクが最大40%減少
野菜がカラフルな理由は、このフィトケミカルにあるのです。フィトケミカルの種類は数千種類以上と非常に多く、ひとつの野菜や果物に数種類のフィトケミカルが存在していることも少なくありません。
また、フィトケミカルには優れた「抗酸化作用」「抗菌作用」があり、老化防止や健康の維持、免疫力アップに役立つなど、化学物質ごとにそれぞれの効果があることが分かっています。
一部の研究では、このフィトケミカルを積極的に摂取することで、がんのリスクを最大40%減らすことができると述べており、がんにつながる損傷から細胞を保護するはたらきがあるとしています。