「接種に前向きな皆さんが接種できる環境を整えて」という言葉を付け加えて「接種率をなるべく早く上げたいですね」とコメントすれば、意思の疎通は合格点に近づくでしょう。私たちアナウンサーはここに一番神経を使っていますが、同じように注意してほしい場面が、職場にも家庭にも広がっています。

視聴者に「心に響く」と言われる最大の理由

こういったセルフチェックの中で最も大切なのは「多様性」です。いろいろな場の人がいて、それぞれの考え方があることを前提に発言しなければなりません。ここに思いが至らなければ言葉が勝手に誤解を生み出します。

ただ、このセルフチェックはそんなに難しいものではありません。いろいろな人がいるんだということを前提に生活するだけで、誤解されるリスクをずいぶんと減らすことができます。

また私がここで言う「多様性」は人種や性別に限ったものではありません。性格や趣味嗜好しこうの分野も含んで多様性ととらえることが大切だと考えています。

藤井貴彦『伝わる仕組み 毎日の会話が変わる51のルール』(新潮社)

全ての根底にあるのは「人権」であり、「多様性を認め合う」が肝なのです。多様性を尊重できる方なら、普段のコミュニケーションに苦しんでいないはずです。私はここまでいろいろなコミュニケーションの準備についてお伝えしてきましたが、実は人間の多様性をどう大切にするかをお伝えしてきたのだと思います。

ただ、こう言う私も、まだまだ不勉強で無知の分野がたくさんあります。どこかで誤解を生んだり、誰かを傷つけたりしているかもしれません。

しかし、背景に相手を尊重する思いがあれば、その後に誤解を解くことはできるはずです。会社でも学校でも家庭でも、互いを尊重できればコミュニケーションに問題は生まれづらくなります。

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