では仮に最新規制をすべてクリアする改良を行った場合、SRの車両価格は果たしてどれほどの値上げとなってしまいそうなのか。

「ヤマハではありませんが、2016年モデルで生産を終了し、2019年に排ガス規制対応やABSの採用、リヤブレーキのディスク化(規制対応させるとすればSRにも必要)などを行って復活したカワサキ『W800』の例が挙げられます」

「この際、カワサキはフレームの改良やLEDヘッドライトの採用、ETCの標準化なども行っているので、これを考慮する必要はありますが、2016年モデルのスタンダードグレードで税込み87万4800円だった価格は、装備内容が同等の2020年モデルでは税込み110万円へと上昇しています」

古風なスタイルの最新仕様はトレンド

排気量の差はあれ、SRの場合もさほど違わない額の値上げとなってしまうことが予想される。

SRのファイナルエディションは税込み60万5000円で販売された。そこから20万程度の値上げとなってしまうと、いくら一定数の根強いファンがいるSRでも、購買層からそっぽを向かれてしまうのだろうか。

「『そんなに高くなったら誰も買わないよ』という声は、値段が安かろうが高かろうが結局のところ買わない、いわば外野の意見だと思います。近年話題のホンダ『CT125』(税込み44万円)やカワサキの『Ninja ZX-25R』(SEグレード・税込み93万5000円)が好例で、両車とも125ccや250ccという排気量帯ではかなり高価ですが、好調なセールスを記録しています」

「そして400ccクラスでも、上級グレードは100万円超えのホンダ『CB400スーパーフォア/スーパーボルドール』(税込み88万4400円~108万4600円)が堅調な売れ行きを見せている。“欲しい!” と思える魅力を備えたバイクであれば、たとえライバルより割高であっても100万円強くらいまでならお金は出す、というのが近年の新車購入層の特徴のひとつだと私は感じています」

写真=ヤマハ発動機
ファイナルエディションの標準仕様。ダークグレーとブルーの2色が用意された

ホンダ『GB350』に倣えばいいのでは…

それでもヤマハが改良コスト上乗せのリスクを懸念しているというのであれば、SRの生産終了と入れ替わるように昨年デビューした、ホンダ『GB350』(GB)の成り立ちを試みる手はないのだろうか。