GBもSR同様、クラシックな外観と空冷単気筒エンジンが売り物となっている。しかしSRと違って最新の排ガス規制に対応し、ABSも装備しているだけでなく、電子制御でスリップを防ぐトラクションコントロールシステムやフルLEDの灯火類まで与えられていながら、価格は税込みで55万円。冒頭で紹介した2021年小型二輪新車販売台数ランクにおいて、GBはSR、カワサキ『Z900RS/カフェ』に続く年間3位となっている。
そもそもGBは、ホンダがインド市場攻略のために開発した『ハイネスCB350』(ハイネス)の日本向けモデルだ。
世界最大のバイクマーケットであるインドでは、ロイヤルエンフィールドという英国発祥のブランドが圧倒的なシェアを誇る。ホンダはその牙城を切り崩すべく、ロイヤルエンフィールドの主力ゾーンとなっている350ccクラスにインドで生産を行い、インド人ユーザーの嗜好に合ったスタイルやエンジン形式を持ち、世界的な安全・環境規制にも適合させたハイネスをぶつけて、発売からわずか4カ月で1万台突破のヒットを記録した。
そんなハイネスの特徴がインドだけでなく、日本でも受け入れられると踏んだホンダが我が国のマーケットへ導入したのが、GBなのである。
部分改良での延命は難しい
つまりGBは、インド+日本というマーケットの大きさを見込んだ量産効果とインド生産(GBは日本で最終組み立て)の恩恵によって、リーズナブルな価格設定を実現できたわけだ。
同様にSRも、最新規制をクリアさせた新バージョンをインドで展開できれば、GB並みの人気が出るのではないか。そしてインドでの販売数が見込めれば、日本生産にせよ海外生産にせよ、極端な値上げをせず日本市場でも延命できるのではないだろうか。
「確かにインドなら目があるかもしれませんが、インドにおける250~750ccクラスのマーケットはロイヤルエンフィールドが約9割という圧倒的なシェアを握っています。現地における同社は絶対的な存在、憧れのブランドですから、ハイネスでの参入はあの世界のホンダにして、かなりのチャレンジだったのです」