次回のQUAD首脳会議は5月後半に日本で開かれる予定で、ここでも中露の対日圧力が予想される。ロシアのラブロフ外相は2、3カ月内の訪日を表明しており、QUADを牽制する狙いがあろう。

第5に、中露は台湾問題で結束し、「台湾は中国の不可分の一部であり、いかなる形の独立にも反対する」と強調した。「台湾有事は日本の有事」といった日本側の主張には共同で対抗しそうだ。

「冷戦期の軍事・政治同盟を超えている」

プーチン大統領と習主席は昨年6月に行ったオンライン首脳会談で、期限20年の中露善隣友好協力条約を5年間自動延長することを決めた。条約は2月28日に期限切れとなり、その後5年間延長される。

中露の「戦略パートナー関係」を明記した同条約は、軍事同盟条約ではないが、今回の共同声明は、「中露の新型国際関係は、冷戦期の軍事・政治同盟を超えている」と規定している。「新型国際関係」の意味は不明ながら、軍事協力を一段と強化する意向を示したものだ。

5年後の2027年に失効する同条約は、再度の延長を認めていないだけに、中露は新しい条約作りに着手するとみられる。

この点で、ロシア極東研究所のアレクセイ・マスロフ所長は「中露は先端部門の軍事技術協力を含め、すでに準軍事同盟関係に入っている。今後4、5年かけてより広範な新条約の策定を協議する」としながら、冷戦期のような軍事同盟はあり得ないと指摘した。

新中国成立直後の1950年に締結された中ソ同盟条約(1980年に失効)は、「日本軍国主義は中ソ共同の敵」と明記した経緯があり、大陸国家・中露の連携は地政学的に日本に脅威を与える。

中ロの軍艦が日本をぐるっと一周する

中露の対日軍事圧力は毎年拡大しており、昨年10月、両国海軍の艦船計10隻が日本海で演習を行った後、津軽海峡を通過して日本列島をほぼ一周した。

領海侵犯や目立った軍事行動はなかったものの、中露軍艦の日本一周航海は初めて。中国共産党に近い『環球時報』紙(21年10月22日)は、「日本の東海岸には、横須賀海軍基地など重要な軍事施設があり、台湾海峡や南シナ海での米国の対中挑発は、これらの基地から発進した」と書いていた。

中露はおそらく、今年も日本一周共同航海を実施するとみられる。両国は2019年から3年連続で、日本や韓国周辺上空で爆撃機の共同空中哨戒飛行を実施しており、空と海での対日威嚇を定例化させる可能性がある。

本来なら、合同演習は最大の敵である米国周辺で行うべきだが、米国と対峙するのは厄介で、手っ取り早く同盟国の日本を脅かそうとするようだ。

こうして、日本外務省が冷戦期の1970~80年代に夢想した「永遠の日中友好」「永遠の中ソ対立」は最終的に破綻した。30年前のソ連邦崩壊直後の絶好機に日露平和条約締結に動かなかったことと併せ、日本政府の対中・対露外交は失敗続きだ。

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