ロシアの「ウクライナ侵攻」を止めない中国

2月4日の北京冬季五輪開会式前に行われた中露首脳会談は、北大西洋条約機構(NATO)の拡大に反対する共同声明を発表するなど、両国の結束を誇示した。欧米は中国がウクライナ情勢でロシアに自制を求めることを期待したが、発表内容をみる限り、そうした表現はなかった。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席

中国は欧米諸国や日本が開会式を政治的にボイコットしたことに反発し、中露の連携を優先したかにみえる。

理念で対立する主要7カ国(G7)と中露の外交的角逐が深まるのは必至で、中露は今後、G7の「弱い環」である日本への外交・軍事圧力を強める恐れがある。「中露準同盟」を抑止する外交努力が必要になる。

微妙な問題には中立の立場だったが…

ロシアがウクライナ国境に10万以上の兵力を増強し、侵攻の動きを示す中、米側は中国の仲介を期待していた。

ヌーランド米国務次官は「中国もウクライナ紛争を望まないはずだ。モスクワへの圧力を行使してほしい」と述べていた。ブリンケン国務長官は1月末、王毅外相と電話会談し、この旨要請した模様だ。

2008年の北京夏季五輪でも、並行してロシア・ジョージア戦争が発生したが、中国外務省は五輪期間中、2度にわたって即時停戦を両国に要求する声明を発表。国威を賭けた五輪が戦争で台無しになることを憂慮した。当時、中国指導部で五輪を担当したのが習近平国家副主席だった。

しかし、習主席は4日の首脳会談で「中露関係は世界の結束のための支柱」「中露の根本的利益を断固擁護する」と述べ、中露の結束を優先する姿勢を示した。

共同声明が「ウクライナ」に言及しなかったことは、一定の対立をうかがわせたが、中国はロシアの欧州安保再編提案を支持しており、中露離間を望んだ西側の思惑は実らなかった。

ロシアの外交評論家、ダニル・ボチコフ氏は、「中国は緊迫した国際環境の中で、公然とロシアの側に立った。これは、従来の微妙な問題に対する中国の中立的アプローチとは異なり、中露の準同盟構造を優先したものだ」と論評した。