この「抜粋の型」は、情報量があまりにも多いけれど、伝える時間が短かったり、文章での文字数が限られてしまっていたりするときに用いると非常に効果的です。
「要約」は、情報の全体像を伝えることが目的であるために、情報のつなぎ合わせや抽象化など高度なスキルが必要となってきます。しかし、「抜粋」は、ちょっとしたコツと、情報を切り捨てる勇気さえあればすぐに使えるようになります。
最後にこの「抜粋の型」をより効果的に使いこなすテクニックを1つお伝えします。
「抜粋」を効果的に行うコツ
そのテクニックとは、「本来伝えたい情報量に対して相対的に小さくする」ことです。
この型を使う際は、抜き出す数を必ずしも1つにする必要はありません。抜き出す数を2つや3つにしても効果を発揮します。
ただ、本来の伝えたい情報量にもよりますが、抜粋した数が増えすぎると、時間が足りなくなるどころか、相手の「抜粋してもらえた感」が薄まる可能性があります。たとえば、「全部で10個やるべきトレーニングがありますが、7つに絞りました」と説明されても、「なんだ、7つもあるんだ……」と思われてしまう可能性があるというわけです。
一方、「100ページにわたる資料の中から抜粋して、最も重要な7ページに絞りました」であれば、相手の「抜粋してもらえた感」は高くなります。つまり、この「抜粋の型」は、絞った数量が、本来伝えたい情報量に対して相対的に小さければ、抜き出す数が1つでなくても高い効果を発揮するのです。
相手に何かを伝える際に、短くする事は手段であり目的ではありません。相手にとってわかりやすいかどうか、メリットがあるかどうかのほうが重要です。
情報過多を避けることができ、さらに、大事なポイントに絞ることが出来たのなら、それは相手にとって大きなメリットになります。
伝える情報を減らす際、「要約」が難しいと感じたら、ぜひ「抜粋の型」とセットで「抜粋」を試してみてください。