「RE」(早期リタイア)よりもまず「FI」(経済的自立)を重視

そもそも、仕事が充実している人はFIREを目指す必要がありません。そして、会社の人間関係にストレスを抱えているのなら転職すればいいわけですし、上司の指示で働くのが嫌なら個人事業主や起業して働くことも考えられます……などと言うと、随分突き放した言い方に聞こえる方もいると思いますが、そうではありません。

もちろん、組織から離れて10万円稼ぐのは大変なことです。でも、経済的自立ができていれば、その月10万円の勤労収入でも生活はできます。当初はご飯を食べるだけで精一杯だけど、勤労収入以外の収入があり経済面で余裕があれば、やりたい仕事に取り組めることで収入がアップしたり、身についたスキルで就職してステップアップできたりすることも可能になります。

ここでお伝えしたいのは、仕事がつらいとばかり考えて早期リタイア(RE)を目指すのではなく、まず経済的自立(FI)を確立することで人生の選択肢の幅を広げてみてほしい、ということです。

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日本では「フルFIRE」の達成は困難

FIREには、大きく2つ種類があります。ひとつは、完全に仕事から退いて、不労所得のみで生活する「フルFIRE」。もうひとつが、不労所得を得ながら、ある程度働いて収入を得ていく「サイドFIRE」。

FIREと言うと前者を想像する人が多いと思いますが、このフルFIREは現在の日本ではかなりハードルが高いと言えます。

まずひとつは、実現に向けてかなり激しい節約を求められるということ。「7500万円」を30歳の人が50歳までにつくるには、年利4%で運用したとしても月およそ20万円の投資が必要です。

さらに、激しい節約と同時に貯蓄したお金を全額投資に回していかなければFIRE実現まで年数がかかり、実現後も、安定した利率で運用し続けられる保証もありません。そして、企業を退職すると厚生年金から国民年金に移行することになり、年金額が減ることも忘れてはいけません。老後の年金が少なくなれば、資産運用の収入はもちろん、資産運用に頼る時期が長くなります。