ポキッと折れたときには、「よくがんばってるぞ、自分」

実る人客観的に自分をいたわる
枯れる人干からびたままでいる
松尾一也『50代から実る人、枯れる人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

――ある日の50代のオジサンの場合――

朝の通勤電車の中では、仏頂面ぶっちょうづらした乗客に囲まれて、ちょっと肩が当たっただけでも「チッ」とか舌打ちをされます。

会社の会議では、常に数字、成果を求められて「不足」を糾弾きゅうだんされ続けます。自宅に帰れば、妻から「子供の塾代」「美容代」「トイレの修繕費しゅうぜんひ」……と連発して請求されます(日頃、立ち食いソバで節約して、欲しいスーツも我慢している身にもなって欲しいものです)。

テレビを見ていると、出演している老けたオジサンに(55歳)とテロップが出ていて、「なんと俺と同い年か!」とひっくり返ります。

寝る間際にネットニュースで政治家、公務員の背任・横領事件が目に飛び込んでは、「他人の金だと思って、コノヤロー!」といきどおりたくなります。

こうして一日を切り取っただけでも50代のオジサンにはいろいろと疲弊することの連続です。「生きるのだけで精一杯」という言葉がピッタリくるのが50代の隠さざる心境。

だからこそ、心がポキッ、ポキッと折れたときには、「よくがんばってるぞ、自分」「心が折れて当然だよ」と深呼吸し、はまり込んでいるつらい状況から客観的に視野を広げられるような慈愛のある言葉を自分にかけてあげましょう。